大腿骨内顆骨壊死症 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.15

大腿骨内顆骨壊死症(だいたいこつないかこつえししょう)

執筆者: 中川 匠

概要

 骨壊死は骨の死を意味し大腿骨顆部の血行が障害をうけることにより発生すると考えられている。現疾患がなく発症する特発性とステロイドの長期連用した患者にみられる二次性に分類される。大腿骨内顆の荷重面に好発し、特発性では60歳以上の女性に多い(男性:女性=1:3)。

病因

 病因は不明であり疲労骨折として始まり、繰り返す外傷と血流障害が相まって壊死が進行すると考えられている。高齢者の骨粗鬆症による骨脆弱性を背景として、軟骨下骨に不全骨折が発生することによって発症する病態の存在も示唆されている。二次性骨壊死症は長期間のステロイド治療、腎移植後、SLEなどの患者に多く合併する。

病態生理

 骨壊死が発生すると軟骨下骨の微小骨折が起きたり、さらに壊死部が吸収されると関節表面の部分的な陥没が生じるが、変形性膝関節症と異なり陥没した軟骨下骨を覆う関節軟骨は残存している。広範囲な陥没した骨壊死を放置すると、最終的に表面の軟骨が変性したり骨棘が形成し変形性膝関節症に進行する。骨壊死部と正常な骨との境界では旺盛な修復反応が観察され、血管の進入や新生骨の形成が見られる。

臨床症状

 患者は典型的に膝内側コンパートメントに限局する急に発症した鋭い痛みを訴える。歩行時特に荷重時に痛みが出現し、夜間痛も伴うこともある。関節水症の合併や疼痛により関節可動域が制限されることもある。

治療

 壊死範囲の小さい場合には保存的治療が有効な場合が多い。外側ウェッジ足底板の使用により、下肢の荷重軸を内側コンパートメントから外側コンパートメントに移動させたり、杖の使用などにより患部にかかる応力の軽減化をはかる。疼痛に対して消炎鎮痛剤を処方したり、大腿四頭筋訓練などにより下肢機能のコンディショニングを行うことにより症状の軽減を図る。疼痛の強い急性期が過ぎて、壊死範囲周囲のリモデリングが進み関節軟骨の変性、広範囲での陥没に至らなければ、疼痛は軽減することが多い。保存療法に抵抗性の場合は外科的治療が行われる。外科的治療は荷重軸を内側コンパートメントから外側コンパートメントに移動させる高位脛骨骨切り術(HTO: high tibial osteotomy) が行われる。病期が進行して変形性膝関節症に至ると、所見に応じて人工膝関節単顆置換術(UKA: unicompartmental knee arthroplasty)人工膝関節全置換術(TKA: total knee arthroplasty)が行われる。

予後

 予後は荷重部の壊死範囲の大きさに依存しており、壊死部が小さくて荷重面への影響が少ない時は保存的治療が有効であることが多い。荷重部が大きく陥没している症例に対しては、外科的治療が必要となることが多い。

最近の動向

 小さい皮切で低侵襲に安全に人工関節手術が行われるようになってきており、術後の早期の回復が期待できる。

(MyMedより)推薦図書

1) 佐志隆士 著:手にとるようにわかる骨関節単純X線写真 はじめの一歩,ベクトルコア 2006

2) 仲田和正 著:手・足・腰診療スキルアップ (CBRレジデント・スキルアップシリーズ (4)),シービーアール 2004

3) ライナー バートル・バーサ フリッシュ 著、Reiner Bartl・Bertha Frisch 原著、中村利孝 翻訳:骨粗鬆症診断・予防・治療ガイド,メディカルサイエンスインターナショナル 2007

4) 主婦の友社 編・著:骨粗鬆症をらくらく予防・改善する100のコツ―強く丈夫な骨をつくって,主婦の友社 2009
 

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