低酸素発作 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.15

低酸素発作(ていさんそほっさ)

執筆者: 香取 竜生

概要

 低酸素発作とはファロー四徴症に代表される漏斗部肺動脈狭窄および心室中隔欠損を伴うチアノーゼ性心疾患に見られるチアノーゼが増強する発作のことである。安静時のチアノーゼの程度と発作の頻度は関係なく、むしろ安静時のチアノーゼの軽い症例で発作を頻発することも少なくない。発作的に症状が出現するため、家族への説明ともに、十分な予測と予防が大切である。

病態生理

 漏斗部肺動脈狭窄が攣縮し、肺血流量が一時的に減少し、右左短絡が増加するためであるとされる。肺動脈が閉鎖し動脈管などの不十分な体肺短絡から肺血流が維持されている場合も、啼泣時など胸腔内圧の上昇と換気量低下により肺血流が低下することにより同様の症状を呈することがある。漏斗部の発作的な攣縮の原因として交感神経の緊張がある。低酸素血症が交感神経を刺激しさらにチアノーゼが増悪するという悪循環が発作の本態である。発作が見られるようになる月令2-3か月は睡眠などの日内リズムが生まれてくる時期であり、朝方や冬場は交感神経の緊張が強くなり発作が起きやすくなる。哺乳による腸管への血流の増加、入浴などによる末梢血管抵抗の減少により体血管抵抗が減少すると、相対的に肺血流量が減少し低酸素血症が増悪する。そのため交感神経が緊張し発作を起こしやすくなる。貧血も発作の誘因となりうる。

臨床症状

 典型的な症状・経過として、起床時、入浴時、排便時、啼泣時、採血時などに急激にチアノーゼが増強し、頻脈、多呼吸が出現する。発作が進行すれば顔面蒼白、徐脈となり失神、痙攣、死亡へと至る場合もある。漏斗部肺動脈狭窄が増強し肺血流が減少するため、駆出性収縮期雑音は減弱する。典型的な発作が出現する前に、軽い発作症状として、泣いて不機嫌である、チアノーゼが増強するといった症状が見られることがある。この程度の症状のうちは自然に数分から数十分で軽快する。朝起床時、排便、入浴時の症状をよく問診することが重要である。

治療

 治療は早期発見が重要であり、朝の不機嫌、チアノーゼの増強等が見られた場合、ただちに検査と治療を開始するべきである。

 予防として以下の経口投与を行う。
1)β遮断薬:インデラル®1-3mg/kg/日 分2-4
2)鎮静薬:フェノバルビタール 3-5mg/kg 分2
3)鉄剤:適宜  

 発作時には
1)胸膝位:下肢を曲げ抱き上げ、鎮静を試みる。年長児は自分から蹲踞の姿勢をとることもある。
2)酸素吸入:発作が進行すると効果は減弱するが、初期には有効である。
3)鎮静薬の投与:塩酸モルヒネ(1ml=10mg) 0.05-0.2mg/kg/1回 皮下注
          塩酸ペチジン(1ml=35mg) 1-2mg/kg/1回 皮下注
4)静脈路の確保:
①     β遮断薬(血圧・心電図などのモニター下に):インデラル® 0.01-0.05mg/kg ゆっくり静注
②     アシドーシスの補正:メイロン® 0.3 x 体重(kg) x Base Excess または 0.5-2ml/体重(kg)
③     昇圧剤:塩酸フェニレフリン(ネオシネジン®)(1ml=1mg) 5-20μg/kg静注  
                   0.1-3μg/kg/min 持続静注
塩酸メトキサミン(メキサン®)(1ml=10mg) 0.1mg/kg 静注
5)挿管呼吸管理、緊急手術         

予後

 重症の発作では死亡することもあるため、発作が軽度であるうちに、病態によっては発作の前に外科治療を考える必要もある。

(MyMedより)推薦図書

1) 五十嵐隆 編集:小児科診療ガイドライン―最新の診療指針,総合医学社 2007

2) 五十嵐隆 編さん:目でみる小児救急,文光堂 2009

3) 半田 俊之介 監修:ナースのための 早引き 循環器疾患ハンドブック,ナツメ社 2007

 

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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