離断性骨軟骨炎 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.15

離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)

OCD: osteochondritis dissecans of the knee

執筆者: 中川 匠

概要

 離断性骨軟骨炎は軟骨下骨の骨壊死であり、距骨や上腕骨遠位にも発生するが膝関節に最も高頻度に発生する。膝関節内での好発部位は大腿骨内顆の後外側であり約70%を占めclassic lesionと呼ばれるが、大腿骨の他の部位やまれに膝蓋骨に発生することもある。成人にも発症するが多くは10-20歳代に発症し、子供のスポーツ人口の増加に伴い発症年齢が若年化してきている。性別では5:3で男性に多く発症する。

病因

 1887年にOCDが最初に報告されて以来その原因に関しては、炎症、遺伝、虚血など様々な仮説が出されたがどれも決定的な証拠が出なかった。現在は軟骨下骨へかかる繰り返すストレス、外傷により疲労骨折が発生することにより発症すると考えられている。疲労骨折部位に外力が繰り返しかかると骨折の修復機転を上回り、骨片が壊死しさらに分離、遊離へと病態が進行すると考えられている。骨軟骨片が関節内に遊離すると、ロッキングや引っかかり感といったメカニカルな症状が出現する。

病態生理

 OCDの初期では病変部の骨軟骨片は安定しており、表面の軟骨組織にも大きな異常所見はみられない。病変部に繰り返し剪断ストレスが加わると、骨軟骨片の分離し表面の軟骨にも変性変化が出現してくる。さらに骨軟骨片表面の軟骨に亀裂が生じると、その亀裂に関節液が入り込むようになる。さらに骨軟骨片の分離がすすむと骨軟骨片が関節内に遊離しメカニカルな症状が出現するようになる。

臨床症状

 病期の初期で病変部が安定している時は、運動後の不快感や軽い疼痛程度で症状は軽い。骨軟骨片の表面を覆う関節軟骨に亀裂や変性が生じると、疼痛も増悪し関節水症などを生じる。骨軟骨片が分離や遊離するとロッキングやキャッチングといったメカニカルな症状を訴える。診察室では病変部に圧痛があり、好発部位の大腿骨内顆の後外側部の病変では下腿を外旋位で歩行すると疼痛が軽減したり、仰臥位で脛骨に内旋ストレスを加えながら膝関節を伸展させてゆくと疼痛が誘発させるWilsonテストが陽性になることがある。

治療

 骨端線がある小児のOCDは骨軟骨片が安定している場合が多くその自然経過は良好であるとされており、まず免荷や患部の固定などの保存的治療が行われる。固定方法や固定期間に関しては議論の余地があるが、X線やMRI画像上で骨軟骨片の癒合が見られれば徐々に活動度を上げてゆくのが一般的である。
 骨端線が閉鎖した後の成人のOCDでは治癒能力が小児と比較して劣るため、保存療法に抵抗して骨軟骨片が剥離したり遊離することが多く見られるため外科的治療が選択されることが多い。病変部が安定型にもかかわらず軟骨下骨の骨癒合が遷延している場合には、関節鏡視下にドリリングを行い血流を促進して治癒機転を高める。骨軟骨片が分離もしくは遊離している場合には、不安定な骨軟骨片を骨釘や吸収ピンなどを使用して母床に固定する観血的整復内固定術が行われる。遊離骨軟骨片が非常に小さく母床の欠損も小さい場合には、遊離骨軟骨片の摘出のみが行われることがある。遊離骨軟骨片の状態が悪く母床の欠損を十分に修復できない時は、大腿骨非荷重部より採取した円柱状の自家骨軟骨片を移植することにより関節表面の再建(mosaicplasty)が行われる。

予後

 早期発見し適切な治療を専門医で受けることが重要である。病変部の骨軟骨片が治癒もしくは関節表面が再建されて良好な力学特性の関節軟骨で病変部が治癒すれば予後は良好である。荷重部に大きな骨軟骨欠損が残存して放置すると変形性膝関節症に進行する危険性がある。

最近の動向

 自家培養軟骨細胞移植をはじめとした再生医学的手法使用してOCDにより欠損した骨軟骨欠損に対する再建が一部の施設で行われている。

(MyMedより)推薦図書

1) 鳥巣岳彦・国分正一 監修, 中村利孝・内田淳正・松野丈夫 編集:標準整形外科学 (STANDARD TEXTBOOK),医学書院 2008

2) 佐志隆士 著:手にとるようにわかる骨関節単純X線写真 はじめの一歩,ベクトルコア 2006
 
3) 仲田和正 著:手・足・腰診療スキルアップ (CBRレジデント・スキルアップシリーズ (4)),シービーアール 2004

免責事項

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