MyMed(マイメド)は、究極の医療電子教科書の作成を通じて、利用者のニーズにあった理想的な医療情報サイトを作ろうというプロジェクトです。

MyMed


このページを印刷
最終更新日:2008.12.10

1型糖尿病(いちがたとうにょうびょう)

執筆者: 池上 博司

概要

体のなかで血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンの産生細胞(膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞)が破壊されてインスリンの欠乏をきたすために発症する糖尿病です。膵β細胞が完全に破壊されるとインスリンの絶対的な欠乏をきたしてインスリン注射なしでは生命を維持できない状態(これを「インスリン依存状態」といいます)になります。原因としては自己免疫によるものと原因が未だ明らかでない特発性があります。小児期や思春期に発症することが比較的多い糖尿病ですが、中高年での発症も少なからず認められます。自己免疫性の診断は血中に存在する膵β細胞に対する自己抗体(GAD抗体など)を検出することでなされます。治療には毎日のインスリン注射が不可欠です。適切に治療しないと生命にかかわる疾患ですが、毎日のインスリン治療によってインスリン欠乏をきっちりと補い、血糖値を正常化することにより健常人とかわらない生活をおくることが可能です。

病因

1型糖尿病は「自己免疫性」と「特発性」に大きく分類されます。自己免疫とは、本来、病原体などを攻撃するためにある免疫のシステムが、何らかの異常により誤って自分の細胞を攻撃してしまうことを意味します。自己免疫性1型糖尿病ではインスリン産生細胞である膵臓のβ細胞に対して特異的に自己免疫が生じ、膵β細胞が破壊されてしまいます。膵β細胞は体のなかで血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンを産生する細胞ですから、破壊されるとインスリン欠乏をきたして血糖が上昇し、糖尿病を発症します。「特発性」とは現時点で膵β細胞破壊の原因が明らかになっていない1型糖尿病のことです。

病態生理

1型糖尿病で膵β細胞が完全に破壊されますと血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンが絶対的に欠乏するため、血糖値がどんどん上昇します。その結果、尿へ糖がもれて(尿糖)、尿の量や回数が増加します(多尿)。体は脱水となるため、のどが渇き(口渇)、水分をたくさん飲む(多飲)ようになります。また、ケトン体というものの産生が増加して、本来弱アルカリ性であるはずの体の血液・体液が酸性に傾き、ひどい場合には昏睡になります。インスリンが欠乏するとブドウ糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなり、余ったエネルギーを体に蓄えることもできなくなるため、体がだるくなったり、食べても食べても勝手に体重が減少したりします。

臨床症状

血糖の上昇、尿糖の増加によっておこる症状として、口渇、多飲、多尿などがあります。 糖質をエネルギーとしてうまく利用できないための症状として、体がだるい、力がでない、体重減少などがあります。血糖上昇・脱水・ケトン体増加などが顕著になると、意識が朦朧としてきて、昏睡となり、放置すると死に至ります。

検査成績

代謝に関する検査:血糖値の上昇(高血糖)、血中ケトン体の増加、尿のケトン体が陽性。 インスリン欠乏に関する検査: 血中インスリン低下、血中・尿中Cペプチド低下。 成因に関する検査:自己免疫性では膵β細胞に対する自己抗体(GAD抗体、IA-2抗体、インスリン自己抗体など)が陽性になります。

治療

注射でインスリンを補充します。インスリンは食事の際に特に多く必要ですので、毎食前に食後の糖質・エネルギー利用を促進するためのインスリンとして速く効くインスリン(速効型・超速効型インスリン)を投与します。また、夜間など食事をしないときの代謝を支えるインスリン(基礎インスリン)としてゆっくりと持続的に効くインスリン(中間型・持効型インスリン)を寝る前などに注射します。このように、一日に複数回のインスリンを投与するのが一般的です。血糖自己測定といって、自分で自分の血糖値を測定することによってインスリン投与量の調節やコントロールの安定化に役立てます。インスリンをしっかりと補充して代謝を正常化しておけば、健常な人と同じ普通の生活が送れます。

予後

2型糖尿病と同じで、血糖をはじめとする代謝を正常化しておけば予後は良好ですが、血糖値を高めのまま放置すると、眼(網膜症)、腎臓(腎症)、神経(神経障害)などの合併症がおこって予後を悪くします。

最近の動向

従来のインスリンでは不足の部分を改善することを目的に、インスリンの構造の一部を人工的に改造したインスリンアナログ製剤が開発され、インスリンの幅広い選択が可能となりました。各個人に最適のインスリンをうまく組み合わせて血糖値を正常化することにより予後の改善につながることが期待されます。

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

※ この記事に関するご意見をお聞かせください。


このページを印刷


※ マイメドでは、疾患項目の追加、および最新情報をお知らせするためにメールマガジンを配信しております。ご希望の方は下記にメールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。
  なお、次の職業の方は、職業をご選択の上、メールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。

メールアドレス: メールアドレス(確認用):
医療関係者の方はご選択ください: