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執筆者: 高金 明典
胃切除後症候群のひとつとして,食事摂取量の減少や消化吸収障害による栄養障害がある.
術後早期から続く嘔気,つまり感などにより食事摂取が困難な場合や下痢などの便通異常による消化吸収障害が遷延し,十分な栄養摂取ができない状態が生じる.また,ダンピング症候群を経験したことによる食事に対する過度の警戒心や恐怖心によることがある.
脂肪摂取時に腹痛,下痢や脂肪便を訴えることが多く,カロリ-摂取に最も有効な脂質摂取量が減少する.また,食べ物を見ただけや臭いを嗅いだだけで嘔気が出現し食欲が湧かないと訴えることがある.体重減少,全身倦怠感,脱力感などを認め,皮膚の乾燥など脱水症状を伴うこともある.
低蛋白血症,低アルブミン血症が長期間続き,低カリウム血症,貧血,低コレステロ-ル血症などを認めることがある.
食事摂取量や食事内容,便通異常などの問診が重要であるが,代謝性疾患など併存症の有無も鑑別診断として考慮する必要がある.
高タンパク質,高カロリ-食を少量ずつ頻回摂取し,適度に脂質をとる工夫を指導する.経腸栄養剤などの補助栄養食の導入が有用である.また,食事に伴う様々な症状出現に対する恐怖心で食事が摂れなくなり,栄養不良を起こしていることがある.精神的なケアにより徐々に恐怖心を克服することで,栄養障害の改善を図ることが必要である.
1) 幕内雅敏 監修,荒井邦佳 編集:Knack & Pitfalls 胃外科の要点と盲点 第2版,文光堂,東京,2009年
2) 武藤徹一郎・幕内雅敏 監修:新臨床外科学 第4版,医学書院,東京,2006年
3) 東口髙志 編:NSTハンドブック 疾患・病態別の栄養管理,医薬ジャーナル社,大阪,2008年
4) 久保田哲朗・大村健二 編集:消化器癌化学療法,南山堂,東京,2009年
5) 胃癌術後評価を考えるワーキンググループ・胃外科・術後障害研究会 編集:胃癌術式と胃術後障害 そのコンセンサスの現状と解説,ヴァン メディカル,東京,2009年
1) 高瀬浩造・阿部俊子 編集:エビデンスに基づくクリニカルパス,医学書院,東京,2004年
2) 内富庸介・藤森麻衣子 編集:がん医療におけるコミュニケーション・スキル,医学書院,東京,2007年
3) Jurgen Thorwald 著,小川道雄 訳:外科医の世紀 近代医学のあけぼの,へるす出版,東京,2007年
4) 財団法人先端医療振興財団・臨床研究情報センター 監修:患者・家族のためのがん緩和ケアマニュアル,日経メディカル開発,東京,2009年
5) 竹末芳生 編集:手術部位感染(SSI)対策の実践,医薬ジャ-ナル社,大阪,2005年
1) 上西紀夫 編集:食道・胃外科標準手術―操作のコツとトラブルシューティング (Digestive Surgery NOW),メジカルビュー社 2008
2) 主婦の友社 編集、池上保子・羽生富士夫・喜多村陽一 監修:胃を切った人の食事―おいしく食べて治す 消化器をいたわるレシピ200 (おいしく食べて治す),主婦の友社 2003
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