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最終更新日:2010.02.16

胃切除後胆石症(いせつじょごたんせきしょう)

執筆者: 高金 明典

概要

 胃切除後数年で形成される胆嚢結石で,術後の超音波検査やCT検査で偶然発見されることが多い.

病態生理

 胆嚢内の胆汁うっ帯により胆石が形成される.胃癌術後ではリンパ節郭清にともなう迷走神経切離により胆嚢収縮が低下し,また消化管ホルモンの作用に対するOddi筋の反応低下が生じ胆汁排泄が障害される.さらに胃切除後は胆道感染をおこすことがあり,これによりビリルビンカルシウムを析出させ胆石の発生に関与する.胃切除後胆石発生頻度は15~20%と言われている.

臨床症状

 胆嚢炎などを併発することは少なく,多くは無症状である.コレステロ-ル胆石より黒色石やビリルビンカルシウム石の色素胆石が多い.

検査成績

 超音波内視鏡やCT検査で偶然発見されることが多い.超音波検査では胆嚢内の結石エコ-と音響陰影を認める.胆嚢壁の肥厚を認めることは少なく,結石の他に胆泥が描出されることがある.総胆管結石で発見されることもまれにある.

診断・鑑別診断

 術後に胆嚢内結石が証明されれば確診となる.胆嚢ポリ-プ,胆嚢腺筋症,胆嚢癌との鑑別が重要であるが,超音波検査で鑑別可能なことが多い.

治療

 通常の胆石症治療に準じて治療されるが,胃切除術後胆石症に対しても腹腔鏡下胆嚢摘出術をおこなう施設が増えている.無症状の場合は経過観察することも多い.

最近の動向

 以前は予防的に胆嚢摘出をおこなうことが多かったが,最近はリンパ節郭清を縮小できる症例などにおいて迷走神経肝枝を温存する手術が積極的に行われており,予防的胆嚢摘出は減ってきている.迷走神経肝枝を温存した場合の胆石発生率は約4~10%である.また,迷走神経肝枝のみならず腹腔枝も温存した方が胆石発生をさらに予防できるとする報告もある.なお,術後長期の絶食や高カロリ-輸液は胆汁うっ帯を助長するが,最近は食事開始時期が早まり,高カロリ-輸液も使わないため問題はないと言われている.

執筆者による主な図書

1) 幕内雅敏 監修,荒井邦佳 編集:Knack & Pitfalls 胃外科の要点と盲点 第2版,文光堂,東京,2009年

2) 武藤徹一郎・幕内雅敏 監修:新臨床外科学 第4版,医学書院,東京,2006年

3) 東口髙志 編:NSTハンドブック 疾患・病態別の栄養管理,医薬ジャーナル社,大阪,2008年

4) 久保田哲朗・大村健二 編集:消化器癌化学療法,南山堂,東京,2009年

5) 胃癌術後評価を考えるワーキンググループ・胃外科・術後障害研究会 編集:胃癌術式と胃術後障害 そのコンセンサスの現状と解説,ヴァン メディカル,東京,2009年

執筆者による推薦図書

1) 高瀬浩造・阿部俊子 編集:エビデンスに基づくクリニカルパス,医学書院,東京,2004年

2) 内富庸介・藤森麻衣子 編集:がん医療におけるコミュニケーション・スキル,医学書院,東京,2007年

3) Jurgen Thorwald 著,小川道雄 訳:外科医の世紀 近代医学のあけぼの,へるす出版,東京,2007年

4) 財団法人先端医療振興財団・臨床研究情報センター 監修:患者・家族のためのがん緩和ケアマニュアル,日経メディカル開発,東京,2009年

5) 竹末芳生 編集:手術部位感染(SSI)対策の実践,医薬ジャ-ナル社,大阪,2005年

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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