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最終更新日:2008.11.21

新生児遷延性肺高血圧症(しんせいじせんえんせいはいこうけつあつしょう)

persistent pulmonary hypertension of newborn PPHN

執筆者: 澁谷 和彦

概要

出生直後から肺動脈の血管抵抗が下がらずに、重篤な肺高血圧が持続する病態である。呼吸を開始していない胎児の循環動態と同様のため、以前は胎児循環遺残persistent fetal circulation PFCと呼ばれていた。

病因

新生児仮死、胎便吸引症候群からの低酸素血症、低体温などのストレスが引き金になり、肺の血管床が収縮を起こして肺動脈の血管抵抗が上昇して肺高血圧となる。とくに先天性横隔膜ヘルニア、肺低形成などが病因の場合には、肺血管床の発達が悪いため重篤な病態を示すことが多い。

病態生理

正常の新生児は、出生直後の呼吸開始に伴って肺胞が広がり、肺胞を取り巻く肺血管床の血管抵抗も急速に低下する。しかし、出生直後から上記のような重篤なストレスに暴露すると交感神経の緊張状態となり肺血管の収縮を起こす。また、低酸素血症、高二酸化炭素血症なども直接的に肺血管の収縮を起こし、肺血管抵抗が胎児のように上昇したままとなり肺高血圧が持続する。肺動脈につながる右心室、右心房の血圧も高く、胎児と同様に卵円孔および動脈管では右左シャントを示す。

臨床症状

出生直後より、正常な肺循環が維持できずに肺における血液の酸素交換は障害されることと、上記のような右左シャントから静脈血が動脈血に混入することにより、重篤な低酸素血症となる。強いチアノーゼと多呼吸および陥没呼吸などの呼吸不全の症状を呈する。

検査成績

血液ガス分析検査では、酸素分圧( PO2 )と酸素飽和度の著しい低下を示す。心臓超音波検査により、右心室および肺動脈の血圧が、左心室および大動脈の血圧と同等あるいはそれ以上になっており、卵円孔および動脈管における右左シャントを示す。

診断・鑑別診断

出生後の新生児において、血液ガス分析検査やパルスオキシメーターの測定により、著しい低酸素血症を認めた場合には、常に本疾患を強く疑う。チアノーゼを起こす先天性心疾患は全て鑑別の対象となるが、心臓超音波検査により、解剖学的に明らかな異常を認めずに上記のような所見が得られたら診断は確定する。

治療

病因となる基礎疾患への対応も重要であるが、あらゆるストレスにより交感神経が緊張し肺動脈の収縮を引き起こすため、まず、患児にストレスをかけない管理をすることを忘れてはならない。苦痛を伴う検査や処置(採血、ライン確保、気管内吸引など)は最小限にする必要があり、鎮静剤および鎮痛剤を積極的に使用する。一般に気管内挿管の上、人工呼吸管理として、高濃度酸素(初期は100%)を使用し、血液中の二酸化炭素をやや低めに維持する。人工呼吸器に通常のものでなく、高頻度振動型人工呼吸器HFO ( high frequency oscillatory ventilator )を使用することも多い。

予後

予後は必ずしも良好ではない。重症の横隔膜ヘルニアや肺低形成など、先天的に肺血管床の発育が著しく悪い場合には予後不良である。

最近の動向

特に重症の場合、以前は体外式膜型人工肺ECMO ( extracorporeal membrane oxygenation )を使用することも多かったが、現在では、一酸化窒素( NO )ガスの吸入療法により肺血管が拡張し改善するため、侵襲の大きく管理も大変なECMOを使用することは稀になっている。

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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