関節リウマチ - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.01

関節リウマチ(かんせつりうまち)

Rheumatoid Arthritis

執筆者: 門野 夕峰

概要

 関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis)は、原因不明とされる全身性炎症性疾患で、病状が進行すると徐々に全身の関節が破壊されていくと考えられています。関節内にある滑膜という組織が異常に増え、関節の軟骨や骨が侵食され、徐々に関節が破壊されていくと考えられています。関節破壊が進行すると、痛みを引き起こすだけでなく、関節の変形や不安定性を生じて、日常生活においてさまざまな障害をきたすようになります。

 日本における有病率は0.5%前後、全国の患者数は60~70万人、男女比は1:4程度だと考えられています。海外の文献によると、遺伝子が同一である一卵性双生児において、関節リウマチ患者の兄弟姉妹での発症率は16%との報告があり、遺伝的背景だけでなく、環境因子の影響もあると考えられています。

病因

 免疫系の何らかの異常がある自己免疫疾患の1つと考えられ、侵されている関節において「何が起きているのか?」、「どのようにして関節が破壊されていくのか?」というメカニズムについては、少しずつ解明されつつあります。しかし「なぜ免疫に異常をきたしたのか?」という関節リウマチの根本の原因については、いまだ不明なままです。

病態生理

 関節リウマチの病変の主体は、関節内にある滑膜にあると考えられています。滑膜が異常に増え、炎症を引き起こす分子(炎症性サイトカイン)を産生し、リンパ球など免疫細胞を活性化し、慢性の炎症状態が続いていると考えられています。同時に滑膜はタンパク分解酵素を産生するため、組織破壊にも直接関与していると考えられています。活性化したリンパ球のうち、B細胞はリウマトイド因子という自己抗体や免疫複合体を産生し、T細胞は免疫反応全体を調節していると考えられています。また関節リウマチで増生する滑膜が骨を壊す破骨細胞の分化を誘導して活性化させることで、関節周辺の軟骨や骨を破壊していると考えられています。

臨床症状

自覚症状

 朝起きた時に手の動きが鈍くてかたくなる「朝のこわばり」が見られ、1時間以上も続くことがあります。しばしば関節の痛みや腫れを自覚します。手指や足趾などの小さな関節に症状が出ることが多いですが、手首、肘、膝など比較的大きな関節にも痛みを感じることがあります。関節痛は安静時だけでなく、動かす時に強くなることが多いです。全身性炎症性疾患なので、活動性が高いときには全身倦怠感や易疲労感を感じることもあります。

 関節以外の症状としては、活動性の高い人ではリウマトイド結節と呼ばれるしこりが皮膚に触れることがありますが、リウマトイド結節は肘、踵、坐骨部など外部から圧迫を受けやすい部位に好発します。

他覚症状


 病状が進行し関節破壊をきたすと、四肢の変形が見られるようになります。関節破壊の進行に伴い、関節が亜脱臼するなどして不安定性が見られるようになるときと、逆に関節を構成する骨同士が癒合して関節の動きが制限されるようになるときがあります。

 手指の特徴的な変形として、小指側に曲がる尺側偏位、スワンネック変形や、ボタンホール変形などがあり、細かい動作をすることが難しくなります。手関節では、しばしば尺骨頭が手の甲側に脱臼し、同部で指を伸ばす健(伸筋腱)が擦り切れて断裂することで、手指が伸ばせなくなることもあります。足趾の特徴的な変形として、外反母趾、三角変形、槌趾などがあります。また偏平足や、足部が外向きになることもあり、痛みを生じるだけでなく、歩行しづらくなることもあります。手指、足趾だけでなく、股関節、膝関節、肩関節、肘関節などの大関節が侵されると、日常生活に大きな支障をきたすようになります。

 四肢の関節だけでなく、脊椎、特に頚椎の関節も侵されることが多く、環軸椎亜脱臼、下位頚椎の不安定性を生じることがあります。(リウマチ頚椎へのリンク

検査成績

 レントゲン検査では、関節軟骨が壊されると骨と骨の間が狭くなり(関節裂隙の狭小化)、破壊が軟骨の下の骨にまで及ぶと、びらんと呼ばれる骨吸収像、しいては骨破壊による変形像が見られるようになります。MRIでは、レントゲンに比べてより早期から、滑膜が増えた状態や骨の浮腫が見られるのが一般的です。

 病勢の指標としてCRP、赤沈(ESR)が用いられます。診断基準(下記参照)の1つであるリウマトイド因子は80%で陽性となりますが、健常人でも陽性となることがあります。抗シトルリン化ペプチド(抗CCP抗体)、マトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)抗ガラクトース欠損IgG抗体(CA-RF)なども高値となることが多いです。

 活動性が高いと貧血になってヘモグロビンが低下したり、血管炎を合併した場合は補体が低下することがあります。

診断・鑑別診断

 関節リウマチの診断基準としては1987年に改定されたアメリカリウマチ学会(ACR)による診断基準(表1)が一般的に用いられます。

表1 関節リウマチの診断基準(ACR 1987年改定)
1.少なくとも1時間以上持続する朝のこわばり
2.3関節以上の腫脹
3.手指PIP節またはMP関節または手関節の腫脹
4.対称性の関節の腫脹
5.手指、手のX線写真上の異常
6.皮下結節(リウマトイド結節)
7.リウマトイド因子陽性

 以上7項目のうち4項目以上が見られる場合、関節リウマチと診断される。ただし最初の4項目は6週間持続していること。

 しかしACRの基準を満たすためには、症状が6週間以上持続することが必要なため、より早期に適切な治療を開始するために早期関節リウマチの診断基準(表2)が用いられています。

表2 日本リウマチ学会による早期関節リウマチの診断基準
1.3関節以上の圧痛または他動運動痛
2.2関節以上の腫脹
3.朝のこわばり
4.リウマトイド結節
5.赤沈20 mm/hr以上の高値またはCRP陽性
6.リウマトイド因子陽性

 以上6項目のうち3項目以上を満たすもの。

 関節リウマチでは、シェーグレン症候群、強皮症などの膠原病を合併することがあります。シェーグレン症候群を合併すると、乾燥性角結膜炎によるドライアイが見られることがあります。関節リウマチに皮膚潰瘍、多発神経炎など血管炎症状を合併した場合は、悪性関節リウマチを考えます。

 鑑別診断としては、関節炎を起こす可能性のある他の膠原病、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、ベーチェット病、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎などの疾患を考える必要があります。

活動性、機能障害の評価法
 関節リウマチに関する分類評価法の代表的はものとして関節破壊や生活機能の障害の程度によって分類するSteinbrocker分類(表3)やLarsen分類(表4)が挙げられます。

表3 Steinbrocker分類 病期分類 最も進行した関節の単純レントゲン写真をもとに分類します。
Stage     I             変化なし
               II           骨粗鬆症あり、関節裂隙狭小化あり 
              III          軟骨または軟骨下骨の破壊あり、関節変形あり 

              IV          骨性強直
生活機能動作分類(ACR改定基準) 日常生活でどの程度困っているか、生活状況から判断して分類します。
Class     I             通常の日常生活(身の回り、仕事、遠出など)が可能 
              II           通常の身の回りと仕事は可能であるが、遠出などには制限がある 
              III          通常の身の回りは可能であるが、仕事と遠出などには制限がある 
              IV          通常の日常生活(身の回り、仕事、遠出など)に制限がある


表4 Larsen分類 関節の単純レントゲン写真をもとに分類します。
Grade   0            異常所見なし
              I 関節周囲の骨粗鬆症 
              II           軽度のびらんあり 
              III         関節裂隙狭小化あり 
              IV          関節変形あり 
              V            ムチランス変形あり



 また疾患活動性の評価法としてはアメリカリウマチ学会のACRコアセット、ヨーロッパリウマチ学会によるDAS28(Disease Activity Score 28)、生活の質であるQOL(Quality of Life)の評価法としてHAQ(Health Assesment Questionnaire)、AIMS 2(Arthritis Impact Measurement Scales 2)などがあります。

治療

薬物治療

 関節リウマチの診断がついたら、可能なかぎり早期に抗リウマチ薬(DMARDs)による治療を開始することが望ましいと考えられています。DMARDsとしては、メトトレキサート、サラゾスルファサラジン、ブシラミン、レフルノミド、ミゾリビン、タクロリムスなどが主に用いられます。これらDMARDsによる治療を土台に、ステロイドや非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)いわゆる痛み止めを用いて痛みに対処します。

 近年、生物学的製剤と呼ばれる「分子を標的にした薬」が使用されるようになってきました。インフリキシマブ、エタネルセプトは炎症性サイトカインの1つであるTNFaの働きを抑え、炎症状態を鎮静化させることができると考えられています。日本では臨床応用はまだされていませんが、これら以外にもアダリムマブ、トシリズマブ、アナキンラなどが関節リウマチに効果があると考えられています。

手術療法

 関節破壊が高度になり、薬物治療を行っても痛みが強く、日常生活において支障をきたすようになると、手術療法が行われます。大きく分けると、人工関節置換術、関節固定術、関節形成術があります。

 人工関節置換術では、破壊された関節を人工物で置換して、疼痛を軽減するとともに、運動制限を減らします。こうした利点の一方で、人工関節は感染に弱いこと、磨耗することが欠点として挙げられます。関節固定術では、破壊された関節を固定することによって、不安定性からくる疼痛を軽減します。一方で関節を固定するので、関節自体の動きは失われます。関節形成術では、破壊された関節表面を切除し、新しくできた空間を軟部組織で埋めることで、運動時の疼痛を軽減します。一方で、形成した関節を中心として力が入りにくくなることがあります。
以下、代表的な手術を紹介します。

人工股関節置換術

 股関節変形、疼痛がひどくなり、歩行するのがつらくなった場合に適応となります。機種にもよりますが、股関節を構成する骨盤に受け皿となる人工物をはめこみ、大腿骨に人工物を挿入して人工関節に置換します。

人工膝関節置換術

 膝関節変形、疼痛がひどくなり、歩行するのがつらくなった場合に適応となります。機種にもよりますが、膝関節を構成する大腿骨、脛骨と膝蓋骨の表面に人工物をはめこみ人工関節に置換します。

足関節固定術

 足関節変形、疼痛がひどくなり、歩行するのがつらくなった場合に適応となります。プレートまたは髄内釘などを用いて固定します。
足関節変形に対しては、ほかにも人工足関節置換術などもあります。

三関節固定術

 後足部変形、疼痛がひどくなり、歩行するのがつらくなった場合に適応となります。距踵関節、距舟関節、踵立方関節をスクリューで固定します。

足趾関節形成術

 外反母趾、前足部の三角変形など足趾変形がひどくなり、足底に有痛性べんち形成がみられた場合に適応となります。中足骨頭を切除して、足趾をまっすぐにしてワイヤー固定をする方法などがあります。

人工肩関節置換術

 肩関節変形、疼痛がひどくなり、肩関節を動かしにくくなった場合に適応となります。機種にもよりますが、肩甲骨、上腕骨両方を人工物に置換する方法、肩甲骨はそのままで上腕骨のみ人工物を挿入して人工関節に置換します。

人工肘関節置換術

 肘関節変形により不安定となった場合、疼痛が強くて肘関節を動かせない場合、肘関節がかたまって動かせなくなった場合に適応となります。機種にもよりますが、上腕骨と尺骨に人工物に挿入し、橈骨頭は切除して人工関節に置換します。

予後

 関節リウマチの原因そのものは不明であり、原因そのものに対する治療法は、まだ存在しません。いかに炎症状態を沈静化させ、骨破壊を予防するかが治療の目標となります。生物学的製剤は優れた治療法ですが、副作用や感受性の問題もありすべて人に使用できるわけではなく、また沈静化した状態を維持するために治療を継続する必要があると考えられています。

最近の動向

 生物学的製剤の導入により、炎症状態を沈静化できることが多くなってきているようです。最近の知見では、早期に生物学的製剤を導入することで、炎症状態が沈静化している状態を維持する、すなわち寛解状態を獲得する可能性が高くなるのではないかと指摘されています。

参考文献

1) リウマチ基本テキスト 第2版 日本リウマチ財団

2) リウマチ専門医試験 改定第2版 日本リウマチ学会

(MyMedより)推薦図書

1) 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 編さん:膠原病・リウマチ診療 改訂第2版―Evidence Based Medicineを活かす,メジカルビュー社 2007

2) 宮坂 信之 編集:よくわかる関節リウマチのすべて,永井書店 2009

3) 渡邊千春 著:リウマチ感謝!,三恵社 2010
 

免責事項

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ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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