多指症・合指症 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.26

多指症・合指症(たししょう・ごうししょう)

執筆者: 鈴木 啓之

概要

 手足の先天異常にはさまざまなものがある。その中でもとくに多いのが、多指症と合指症である。また、四肢の先天異常は、多種多様である。ここでは、この2疾患について概説すると共に、手の先天異常分類を紹介する。手足の先天異常は、多指や裂足など外観から命名されている。同じ診断名であってもその症状は変化に富み、実際のところ、治療の難易度にも大きな差がある。

多指症


 正常より指数が多い状態をいい、手足先天異常のうちでもっとも多い。

 手では母指側に圧倒的に多い。出生1000人に対して0.5〜1人の患者がおり、右手に多い。また、足においては小指側でよく見られ、「多合趾症」の形であることが多い。

合指症


 隣り合った指がくっついているものである。皮膚だけが癒合していて、骨は分かれている皮膚性合指と、骨の癒合もみられる骨性合指とがある。発生頻度は多指症についで多く、手では中指-環指間の合指がよく見られる。足では小趾側の多合趾であることが多い。

病因

 四肢の発生時に起こる異常である。手の発生では、胎生期の38日目には手板において指板肥厚がおこり指放線が形成される。そして、44〜47日目にはapotosisによって、指間にあたる細胞が、無くなっていき指の形成・分離がおこる。この分離が上手くいかないと、合指となる。こうした時期に、母指が重複すると母指多指症になる。すなわち、多指症では発生の途中で本来一本になるはずの指が分離したことで重複したものである。本来1本の指になるはずのものが2本の指になったため、多指症の指は、正常の大きさより小さい。

治療

 基本治療は手術である。しかし、足の指間が浅いだけの合趾では機能障害もないため、絶対的な手術適応とは言えない。手術治療の成果目標としては、機能の改善と整容的な満足を得ることと言えるだろう。

 手術の結果として健常側と同じにして欲しいという希望があっても、実際には、機能障害が内在しており、健常と同じ状態をを得ることは相当困難といえる。現実的な再建の目標を示して、インフォームド・コンセントを得ることが必要である。また、乳児期の初回手術の後、成長するにつれて皮膚の瘢痕拘縮が生じることもある。そのための治療(Z形成手術や皮膚移植術)が必要となる場合もある。

 多指症の手術は、単に「余剰指」を切除すればよいのではなくて、二本の母指を統合して機能的にも形態的に優れた指にするという、考え方である。 通常、手術は1歳前後で行われる。残す指が優勢で比較的大きい場合には、機能的な不具合もなく治療できることも多い。しかしながら、指が2本とも斜指変形が大きくて、やや小さい「カニ爪型」などでは、指の変形の問題、指節間関節の動きが悪いなどのその多指症が本来もっている変形を十分に矯正することは、なかなか難しいことである。カニ爪型では、骨切りによる骨軸調整を行い、斜指変形を治療することになる。



 足の小趾列多合趾症も通常、1歳前後で手術する。ことのき、第5趾、第6趾のどちらを切除するかは、足趾全体のアライメントを考慮して決めている。 多合趾になっていることも多く、その場合第4−5間の合趾の分離も行うために、適切な皮弁のデザインを行った上で、皮膚移植を要することが多い。
 


 合指症の手術は1歳前後で行われることが多い。筆者は生後8ヶ月過ぎくらい以降には可能と考えている。手術目的は合指を分離して指間を作成することだ。癒合していた指を分離したら、癒合していた側面と指間底部の皮膚が無い状態になる。すなわち、皮膚欠損が生じるので、そこを皮弁で被ったり、皮膚移植をする。指背側の矩形弁を用いて指間底部を作成し、ジグザグ切開で指間を分離し、生じた欠損に皮膚移植を行う手術が、一般的である。ジグザグの切開にするのは、手術後の瘢痕拘縮予防である。

 隣接する3本以上の指の合指症があるが、その場合は分離手術は2回以上に分けて行う。また、骨性合指では骨露出面は血行に乏しく植皮がそのままでは生着しない。そこで、骨露出面を皮弁で被うように工夫するか、皮下脂肪弁で骨露出部をカバーして皮膚移植をする。

手の先天異常分類

 多指や合指のほかにも、多くの手足の先天異常がみられる。1976年にSwansonは発生過程を基にして上肢の先天異常を体系的に分類した。それを基本として作られたのが、ここに紹介する「手の先天異常分類 (2000年)」である。この分類より抜粋して紹介する。



 母指多指症は「重複」に分類される。中央列の多指はこの分類ではカテゴリー4と考えるのがふさわしい。過剰の指が小さい突起状のもの、細い茎でつながっているもの、完全な指の形を示すものがある。そして、重複がどのレベルから起こるかで分類できる。末節骨での重複である末節型、基節骨から分岐するタイプ、中手骨で分岐するタイプがある。レントゲン画像からみたWassel分類がよく用いられる。7型に分けるのが一般的である。



 また、足では独立した第6趾がある多趾症。第5指の重複がありが、4-5指間はに合趾のないタイプの多合趾症。そして第5指の重複と、4-5指間が合趾になっている多合趾症に分類できる。

 合指症は、発生学の観点からの分類では、指列誘導障害に分類され、皮膚によって隣接指と癒合する「皮膚性」合指、さらに、骨組織までが癒合する骨性合指に二分される。骨性合指は通常末節骨同士が癒合する。また、指先まで癒合する完全合指とそれ以下までの癒合である部分合指に分けられる。

 発生頻度は多指症についで高く、出生1000人に対して0.3〜1人の患者がいる。

 なお、有窓性合指あるいは先端合指と呼ばれる特異な合指もあり、これは、カテゴリーVIIの絞扼輪症候群において見られる。
(母指多指症の Wassel 分類)

(MyMedより)推薦図書

1) 日本小児整形外科学会教育研修委員会 編集:小児整形外科テキスト,メジカルビュー社 2004

2) 日本小児整形外科学会教育研修委員会 編集:小児整形外科手術テクニック,メジカルビュー社 2007

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