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hemothorax
胸腔内に血液が貯留した状態をいう。胸壁、縦隔臓器(心臓、大動脈、食道、上・下大静脈)、横隔膜、肺など胸腔に隣接する部位からの出血で生じ得る。
外傷、自然気胸、医原性損傷(手術後、カテーテル挿入)、腫瘍(肺癌、転移性腫瘍など)、大動脈瘤破裂、肺梗塞、血液凝固療法など。
胸腔は、臓側(肺)胸膜、壁側胸膜、縦隔胸膜に囲まれた腔である。よって胸壁の血管(肋間動静脈、内胸動静脈など)、骨(肋骨、胸骨、椎骨など)、横隔膜、肺、縦隔臓器(心臓、上下大静脈、食道など)からの出血に胸膜の破綻をともなって血液が胸腔内へと貯留した場合に生じる。気胸を伴う場合を血気胸とよび、気胸を生じて肺が縮む時に胸壁との癒着(多くは肺尖部)がはずれ、その部位より動脈性の出血をきたし生じる。胸膜の破綻を伴わない時は、胸壁血腫、縦隔血腫、肺内血腫となる。また、血性胸水は、胸水に血液が混入した場合をいい、血胸とは異なる。
循環血液量の減少による症状として動悸、冷汗、意識混濁、ショックなどを肺の虚脱による症状として息切れ、頻呼吸、呼吸困難などを生じる。 -他覚症状 特徴的なものはないが、病側の呼吸音(肺胞音)の減弱、打診での濁音の出現などが生じる。
胸部レントゲンで、透過性の低下、肋骨横隔膜角の鈍化、肺の縮小がみとめられる。ただし、胸部レントゲンの臥位では200-300ml以下の出血量ではわからないことがあるため座位や側臥位撮影を行うことが奨められる。 胸部CTで、胸水の貯留をみとめ、新鮮血は35HUを超え、凝血すると70HUに達する。胸部MRIでは、新鮮血ではT1で低、T2で高強度、数時間から数日経るとT1、T2で低強度となる。エコーでは、液体の貯留をみる。胸腔穿刺では、血液が流出、ヘマトクリット(胸水/血液>0.5)となる。血液検査では、出血量によるがヘモグロビン、ヘマトクリットなどの減少をみとめる。
血胸による症状がなく、少量(CTにて背側にわずかに貯留、レントゲン座位で肋骨横隔膜角がわずかに鈍の場合)場合は、経過観察でよい。経時的に必ず増量がないかをレントゲン、CT、エコーなどで確認する。 -ドレナージ 症状がある場合、出血が中等量以上(臥位レントゲンで明らかに診断がつく、座位で肋骨横隔膜角の鈍化が高度、CTにて2-3cm以上の貯留をみとめる)場合は、ドレナージを行う。水封から低圧持続吸引(5-10cmH2O)管理とする。ドレナージは20Frを超えるような太めのチューブで施行し血腫を作らないように注意する。 -手術 ドレナージ直後の出血量が1000-1500cc程(循環血液量の20-30%)の場合は、しばらく経過をみてその後の流出量で決める。100- 200(2-3/Kg)cc/時間の出血が3-4時間以上続くようなら考慮する。ドレナージ直後の出血量が2000cc以上の時や、バイタルが不安定ならば迅速に手術を準備の必要がある。 -輸血、補液 バイタルサインをみて適宜おこなう。
1) 寺沢秀一・林寛之・島田耕文 著:研修医当直御法度―ピットフォールとエッセンシャルズ,三輪書店 2007
2) 村田喜代史、上甲剛、池添潤平 編集:胸部のCT,メディカル・サイエンス・インターナショナル 2004
3) 佐々木克典 著:外科医のための局所解剖学序説,医学書院
4) 南淵明宏 著, 茨木保 絵:ナースのちから (CABG手術編),三輪書店 2006
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