側頚瘻・側頚嚢胞 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.02

側頚瘻・側頚嚢胞(そくけいろう・そくけいのうほう)

執筆者: 森川 信行

概念・病因

 側頚部で胸鎖乳突筋の前縁に沿って発生する瘻孔または嚢胞を言う。発生学的に胎生4週頃から、将来、頭、顔、頚部になる部位が隆起して鰓弓を形成するが、この鰓弓は鰓溝、鰓洞によって大きく4個に分けられている。(第5、第6鰓弓も形成されるが痕跡的とされる。)第1鰓溝と第2鰓溝が遺残することによって生じた瘻孔または嚢胞を側頚瘻・側頚嚢胞と呼ぶ。

 第1鰓溝は外耳道を形成し、第2鰓溝は口蓋扁桃窩を形成する。従って第1鰓溝の遺残では下顎骨下縁と外耳道との間に瘻孔が生じ、第2鰓溝の遺残では胸鎖乳突筋の前縁で下3分の1の部位から口蓋扁桃窩に至る瘻孔が発生する。臨床的には第2鰓溝由来の側頚瘻が多く、第1鰓溝由来のものは稀である。病理学的には瘻孔の内腔は1層の扁平上皮、円柱上皮、線毛上皮などで裏打ちされており、その上皮は薄い筋層で覆われている。

症状・診断

 第1鰓溝由来の側頚瘻は胸鎖乳突筋の前縁で下顎骨下縁に瘻孔または嚢胞が生じる。外耳道につながっているため、分泌物が外耳道から排泄され、外耳炎と診断されていることがある。無症状であることが多いが、感染を起こすと発赤、局所の腫脹がみられ、耳痛を訴える場合もある。

 第2鰓溝由来の側頚瘻は胸鎖乳突筋の前縁、下3分の1の部位に瘻孔または嚢胞が生じる。感染を起こさないと無症状であるが、時に咽頭痛を訴えることがある。

 いずれの側頚瘻も胸鎖乳突筋の前縁という発生する位置と瘻孔の向かう方向が診断には重要で、瘻孔や嚢胞の方向性、周囲の重要臓器(顔面神経、内頚動脈、外頚動脈など)との関係を超音波、CT、MRIで詳細に確認することも診断・手術時の助けとなる。瘻孔の造影は感染を誘発する危険性、所見の不確実性から行う必要はない。

治療

 いずれの側頚瘻も治療は瘻孔を全長にわたって外科的に切除することである。多くの場合、感染を契機に発見されるので、まず切開排膿し感染を治めることが重要で、根治術の時期は炎症が消退してから1ヶ月後位が適当である。

 第1鰓溝由来の側頚瘻は、顎二腹筋の後腹より表在に位置して、下顎角部から下顎骨の後方に沿って耳下腺の後下方から顔面神経と交叉して外耳道に至る。顔面神経本幹と瘻管の交叉は、瘻管が顔面神経の深部を通るものや浅部を通るものがあるため、注意が必要である。顔面神経をいかに損傷しないで瘻管を完全摘出するかが第1鰓溝性側頚瘻の手術のポイントになるが、nerve stimulatorを用いたり、術野から顔の動きを監視することが薦められている。耳下腺との関係も外側や内側を通過するなど様々で、耳下腺との癒着が強い場合には耳下腺の部分切除が必要なこともある。

 第2鰓溝性側頚瘻は胸鎖乳突筋の前縁に沿って上行し舌骨の高さで前頚筋膜を貫き深部に向かう。総頚動脈分岐部の高さで舌下神経の表層を進み、舌咽神経の表層を通過しながら内外頸動脈の間を通り、顎二腹筋の下方で上咽頭収縮筋を貫き口蓋扁桃窩に開口する。皮膚の開口部が下顎から離れている場合には、step ladder incisionを用い、下顎部の皮膚切開を充分にとるようにする。術前にメチレンブルーなどの色素を瘻管内に注入して、色素を指標に剥離を進めるとよい。瘻管に沿って剥離を進めれば、神経からの剥離は比較的容易で、口蓋扁桃に達したら、口から扁桃を圧迫して扁桃に接する位置で瘻孔を結紮切離する。

(MyMedより)推薦図書

1) 岡田正 著:系統小児外科学,永井書店 2005

2) 山高篤行・下高原昭廣 編集:小児外科看護の知識と実際 (臨床ナースのためのBasic&Standard),メディカ出版 2010

3) 馬場直子 著:こどもの皮疹診療アップデイト (CBRアップデイト・シリーズ 2),シービーアール 2009
 

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