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カテゴリー: 小児 | 糖尿病・代謝内科 | 小児科 | 乳幼児、子ども | 代謝(糖尿、肥満など)
childhood diabetes mellitus
執筆者: 浦上 達彦
従来、小児糖尿病の大半は1型糖尿病であると考えられていたが、小児においても成人と同様に2型糖尿病が数多く存在する。糖尿病の成因分類を表1に示す。

本邦における小児1型糖尿病の発症率は欧米諸国に比べて極めて低く(1/10〜1/20)、年間10万人当たり約1.8人と推定される。
1型糖尿病の主な病因は、膵島特異的な自己免疫によるβ細胞の破壊(自己免疫性)であり、通常は絶対的インスリン欠乏に至る。また特定のHLAクラス II 抗原がその発症に関与すると考えられる。
小児の2型糖尿病は、肥満児の増加と共にその数が急増し、本邦では1980年以降その発症率は約2倍(年間10万人当たり約3〜4人)になった。
病因としては、インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体でインスリンの相対的不足を伴うものがある。小児の2型糖尿病の80%以上は肥満児であり、生活習慣の変化(動物性脂肪摂取の増加や運動量の減少)と遺伝的素因(多因子遺伝)がその発症に関与している。
小児糖尿病の症状を表2に示す。

1型糖尿病は急性発症する症例が多いが、2型糖尿病の多くは軽微な症状で学校検尿・糖尿病検診などで偶然発見される。また幼少児の1型糖尿病では初期症状に気付かれないことが多く、ケトアシドーシスに進行しやすい。
1型糖尿病の発症年齢は年少〜年長児と広範囲であり、体型としてはやせ型が多い。ケトアシドーシスを伴い急激に発症することが多いが、症例によっては緩徐な経過を示す例も存在する。グルカゴン負荷のC-ペプチド反応や24時間尿中C-ペプチド排泄で評価するインスリン分泌能は低下〜枯渇している。
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は循環血中有効インスリンの減少とグルカゴンなどのインスリン拮抗ホルモンの上昇により生じる。DKAは1型糖尿病の主たる死因(死亡率0.1〜0.5%)であるが、DKA関連死の多くは脳浮腫の合併と関連する。
症状としては腹痛、嘔吐と共に意識障害〜昏睡を示す。通常血糖値は300mg/dL以上(500〜700mg/dL前後が多い)で高浸透圧血症を示し、血中ケトン体(主に3ヒドロキシ酪酸)の上昇と酸血症(pH<7.3、重炭酸イオン<15mmol/L)を認め、低Na、高K 血症になる。
2型糖尿病は主に年長児(思春期年齢)に発症し、体型としては肥満が多い。インスリン基礎値は保たれ、経口ブドウ糖負荷試験でのインスリン分泌は遅延型過分泌を示すものが多い。インスリン抵抗性が強い症例では、黒色表皮腫を認める。家族集積性が強く、家系内に2型糖尿病を有することが多い。
1型糖尿病治療の基本はインスリン治療であり、並行して適切な食事摂取と運動を行う必要がある。
インスリン治療では、主に各食前に追加インスリンを注射し、1日1~2回基礎インスリンを注射する頻回注射法(強化インスリン療法)が用いられる。
食事の基本は、同性、同年齢の小児と同等の必要カロリーを適切な3大栄養素の配分で摂取することにある。運動に関しては、低血糖の発生に注意すれば如何なる制限もない。
日本糖尿病学会の小児糖尿病委員会による血糖管理目標値(表4)は、成人で用いられている糖尿病診療ガイドラインの値より高値だが、小児特に幼少児では重症低血糖の危険を避けることが優先されるため、このような目標値が設定されている。

DKAの治療の中心は輸液による脱水および電解質の補正とインスリン投与による高血糖の是正である。
DKAによる脱水の程度は5〜7%が主で、初期輸液としては生理的食塩水を用い、喪失した循環量を修復する。低張液の急速輸液は脳浮腫発生のリスクを上昇させるので注意する。
インスリンの投与は速効型インスリンを少量持続点滴する。急激な血糖の低下は脳浮腫発生の要因となる。原則として酸血症是正の目的で重炭酸の投与は行わない。
小児・思春期2型糖尿病の治療の基本はあくまでも食事・運動療法である。
食事療法では、むやみに摂取カロリーを制限するのではなく、適切に3大栄養素を配分(糖質53~57%、蛋白質15~17%、脂質30%)し、肥満の原因となった誤った食習慣を是正するよう指導する。
運動療法では、摂取エネルギーの5~10%程度を有酸素運動で消費するのが望ましいといわれる。
小児2型糖尿病の多くは食事・運動療法が奏功し、肥満が軽減すると血糖値も改善するが、一部の症例は高血糖が持続して薬物治療(経口血糖降下薬、インスリン)の対象になる。
小児期の血糖値の不良は、成人期になり慢性血管合併症(網膜症、腎症、神経障害および大血管障害)を起こす原因となる(メタボリックメモリー)。従って1型糖尿病では、小児期から自己血糖測定による厳格な自己管理を行い、長期にわたり表4に示すような良好な血糖値を維持する必要がある。また同時に血糖値の変動に伴う低血糖の発生にも十分注意する。2型糖尿病では病識が欠如している症例が多いため、初期患者教育を十分行う必要がある。
1) 日本小児内分泌学会 編、浦上達彦 著:小児内分泌学, 診断と治療社
2) 日本小児内分泌学会糖尿病委員会 編、浦上達彦 著:こどもの1型糖尿病ガイドブックー患児とその家族のためにー,文光堂
3) 糖尿病学会 編、浦上達彦 著:小児・思春期糖尿病管理の手びき 改訂第2版,南江堂
4) 馬場一雄 監修、原田研介 編集、浦上達彦 著:新版 小児生理学,へるす出版
5) 五十嵐隆 編、浦上達彦:小児科診療ガイドラインー最新の診療指針, 総合医学社
1) 大関武彦・近藤直実 総編集、浦上達彦 著:小児科学第3版,医学書院
2) 日本小児内分泌学会糖尿病委員会 編、浦上達彦 著:こどもの1型糖尿病ガイドブックー患児とその家族のためにー,文光堂
3) 糖尿病学会 編、浦上達彦 著:小児・思春期糖尿病管理の手びき 改訂第2版,南江堂
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