上腸間膜動脈性十二指腸閉塞(上腸間膜動脈症候群) - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.15

上腸間膜動脈性十二指腸閉塞(上腸間膜動脈症候群)(じょうちょうかんまくどうみゃくせいじゅうにしちょうへいそく(じょ)

Arteriomesenteric duodenal compression syndrome (Superior mesent

執筆者: 石神 浩徳

概要

 十二指腸水平脚が上腸間膜動脈(SMA)によって圧迫されることにより閉塞し、嘔吐や腹部膨満などの腸閉塞症状を引き起こす疾患である。1842年にRokitanskyにより初めて報告された。急性に起こることもあるが多くの場合慢性間欠的であり、15~30歳の比較的若い痩せ型の女性に多いとされる。

病因

 十二指腸水平脚は前方をSMA、後方を大動脈および脊柱に挟まれるように走行する。SMA症候群をきたす要因として、1)SMAと腹部大動脈の分岐角が通常よりも鋭角であること。これは痩せた体型とか内臓下垂、脊椎前彎の増強、腹壁の弛緩などの体格的な因子によって起こる、2)飢餓、重篤な火傷や外傷、神経性食欲不振症などで急激に体重が減少し、腸間膜の脂肪が減少すること、3)Trize靭帯の高位付着や腸管の回転異常など先天的な異常の存在、 4)体幹ギプスにより脊椎が過伸展された状態で固定されること、などがあげられている。

臨床症状

自覚症状


 食事摂取により増強する、腹部の膨満感、食欲不振、嘔気、嘔吐(胆汁性)、腹痛などが主症状である。これらの症状は腹臥位や左側臥位、胸膝位で軽快し、仰臥位で増悪する

検査成績

 腹部立位単純X線で十二指腸水平脚の閉塞による胃十二指腸の拡張のため、double bubble signを認める。上部消化管造影では十二指腸近位部の著明な拡張と水平脚中央で認められる急激な断列像、逆蠕動、造影剤の振子運動(tonand fro peristalsis)などが特徴である。超音波検査ではSMAの走行および分岐角の測定が可能である。分岐角はSMA症候群で平均13度(5~18 度)、正常人で平均33度(15~50度)とする報告がある。CT検査では十二指腸の拡張および狭窄部位の確認が可能で、SMAや大動脈との関連も評価可能である。

診断・鑑別診断

 食事摂取により増強し、体位により変化する上部消化管閉塞症状を認める症例では本疾患を疑い、腹部立位単純X線、超音波検査を施行する。上部消化管造影およびCTにより確定診断に至る。慢性に経過した症例ではるい痩、栄養不良状態になり、過度の食欲不振から拒食症になることもある。このため神経性食思不振症との鑑別が困難となることも多い。

治療

 まず保存的治療を行う。急性型で激しい症状を訴える場合は、胃管を挿入して胃内容を除去し、胃十二指腸の減圧を図る。また、輸液による体液管理、中心静脈栄養や成分栄養による栄養管理を行う。慢性型では、食事を少量ずつ数回に分けて摂取し、食後には腹臥位や左側臥位をとるように指導する。保存的治療が全く無効な場合や再燃を繰り返す場合には稀ではあるが手術が施行される。術式は、十二指腸空腸吻合術、十二指腸弯曲授動術、Treitz靭帯切離術、十二指腸転位術などが症例に応じて行われている。

予後

 若年者では保存的治療で改善する場合が多い。高齢者では合併症や開腹の既往により本疾患の誘因の解除が難しく、手術に至る例が多いと報告されている。

(MyMedより)推薦図書

1) 星原芳雄・光永篤・中村哲也・太田正穂 著、長廻紘 編集:消化管内視鏡診断テキスト 1 食道・胃・十二指腸,文光堂 2008

2) 笹子三津留 著:胃・十二指腸 (みる・わかる・自信がつく!消化器外科手術ナビガイド),中山書店 2009

3) 平塚秀雄 著:新版 胃・十二指腸の病気 (よくわかる最新医学),主婦の友社; 新版版 2005

4) 主婦の友社 編集、勝健一・宮本千華子 監修:おいしく食べて治す胃・十二指腸潰瘍に効く食事―消化のよいレシピ200,主婦の友社 2002

免責事項

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