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Mumps
別名: おたふく | ムンプス
執筆者: 西本 創
おたふくかぜと呼ばれる、両側耳下腺腫脹を特徴とした感染症。
パラミクソウイルス科に属するムンプスウイルスの飛沫感染による全身性感染症である。
飛沫感染後、鼻粘膜や上気道粘膜で一次増殖し、次いで所属リンパ節でさらに増殖しウイルス血症を起こし全身に感染する。
潜伏期間は12~25日(多くは16~18日)である。
発熱、頭痛、全身倦怠感が先にみられることがあるが、多くは突然耳下腺(耳前部から下顎角にかけて)が腫脹する。発熱は通常数日である。
有痛性急性耳下腺腫脹がみられ、75%が両側性である。顎下腺や耳下腺の腫脹も見られる。唾液腺の腫脹は3日目にピークとなり10日間近く持続する。
2~10%に無菌性髄膜炎を合併する。
唾液腺由来のアミラーゼが血中、尿中で上昇することが多い。髄膜炎を合併した場合には髄液細胞数増多を認める。
ムンプスウイルス以外のサイトメガロ、パラインフルエンザ1,3型、インフルエンザA型、コクサッキーリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、エンテロ、HIVでも耳下腺が腫脹することがある。
ウイルス感染症以外では化膿性耳下腺炎、反復性耳下腺炎、唾石症などがあるが、多くは片側性である。
非典型例では診断が困難な場合もあり、抗体価測定が必要となることもある。
ウイルス感染症であり、特異的な治療法はない。安静にし水分補給を心がける。頭痛に対してアセトアミノフェンを使用してもよい。酸味の強い食物は疼痛を誘発することがあるので避ける。
予防接種が有効であり、単独の生ワクチン接種が行われている。
脳炎が2/100000に、聴力障害を1/15000に認める。それらがなければ一般に予後は良好である。思春期以降の男性では25%に睾丸炎を合併するが、80%は片側性で不妊になることはまれである。思春期以降の女性では乳腺炎を30%に、卵巣炎を5%に合併する。他に、関節炎、甲状腺炎、糸球体腎炎、心筋炎、心内膜弾性線維症、血小板減少、小脳失調、横断性脊髄炎、上行性多発性神経根炎、膵炎があるがまれである。
耳下腺の腫脹が消失するまでは学校保健法により出席停止となる。
1) 川瀬昌宏 著:臨床医のための小児診療ハンドブック,日経メディカル開発 2008
2) 砂川慶介・尾内一信 編著:小児感染症治療ハンドブック,診断と治療社 2008
3) 国立成育医療研究センター 編集:ナースのための小児感染症―予防と対策,中山書店 2010
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