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congenital biliary dilatation
執筆者: 窪田 敬一
総胆管を中心として胆道が嚢腫状あるいは紡錘状に拡張する疾患で、かっては総胆管嚢腫(choledochal cyst)と呼ばれ、Alonso-Lejの分類が用いられていた。最近では肝内および肝外胆管の紡錘状ないし円柱状の軽度拡張例も含めて先天性胆道拡張症と呼称されている。ほとんどの症例で膵管胆道合流異常が認められるが、伴わない先天性胆管拡張症をめぐって今なお議論が続いている。
発生機序は明確ではない。胆汁通過障害説、胆管壁脆弱説など言われているが、ほとんどの症例に合併する膵管胆道合流異常により胆管内に逆流した膵液が胆管壁を障害することが原因となるのではないかと推察されている。
胆管の形態や拡張程度から嚢胞型、紡錘型、円筒型などに分類される。肝内および肝外または肝内胆管の拡張を呈する症例は左右肝管分岐部から肝内胆管にかけて胆管狭窄を呈する場合がある。この狭窄はその前後の胆管が拡張しているため、ある程度の内腔があっても狭窄と判断される相対的狭窄である場合が多い。欧米に比べて我が国に多く、半数以上は10歳以下の小児期に発症し、男女比は1:4で女性に多い。
膵液の胆管への逆流および狭窄の存在に起因する胆管炎が症状の基礎となる。腹痛、嘔気・嘔吐、黄疸、腹部腫瘤、白色便、などが主症状である。腹痛、黄疸、腹部腫瘤が三主徴であるが、小児で三主徴揃うことは珍しい。膵管胆道合流異常に起因した腹痛、急性膵炎症状を呈したり、検診で胆管拡張、胆道系酵素の上昇を指摘された、などにより精密検査を受け発見されることが多い。
腹部超音波検査、ERCP、CT、MRCPなどにより行う。胆管癌、胆嚢癌の発生が高率なため、拡張した胆管内または胆嚢内の腫瘍性病変を見逃さないよう注意が必要である。
以上の症状を備えた症例で画像で胆管拡張、膵胆管合流異常症が確認できれば診断は容易である。
治療は拡張した胆管を切除して肝管と空腸を吻合する、いわゆる分流手術が必要である。胆管狭窄病変に関連して、胆管炎、肝内結石、肝内胆管癌、などが問題となるので、手術に際して、狭窄部を残さず、切除するか解除しなくてはならない。また、胆管癌、胆嚢癌が併存した場合は部位、進行度に応じて膵頭十二指腸切除術、肝切除術が必要となる。
予後は肝内に狭窄部を残さず切除・再建が行われていれば良好である。
ほぼ合併症なく治療可能になっている。
1) 辻井正・神代正道・二川俊二・沖田極・小林健一 編集:肝内胆管癌―基礎から臨床まで (肝・胆・膵フロンティア),診断と治療社 1999
2) 伊佐山浩通・吉田晴彦・椎名秀一朗・小俣政男 監修:肝胆膵診療エキスパートマニュアル,羊土社 2008
3) 税所宏光 編集:防ぐ、治す 胆のう・胆管の病気 (健康ライブラリー イラスト版),講談社 2005
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