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fibroadenoma
執筆者: 太田 智彦
[疫学(頻度、好発年齢、部位)]
思春期から30歳代前半の性成熟期に好発し、乳腺の良性腫瘍の中では最も頻度が高い。しばしば両側性あるいは多発性に発症する。
上皮性分(腺組織)と間質結合組織(線維)の混合腫瘍。組織学的には周囲との境界が明瞭な結節性腫瘍で、腺管を形成する上皮性成分と線維性結合組織成分の増殖からなる。肉眼的には灰白色被包性(実際には被膜がない)で類円形、あるいは軽度分葉状、桑実状を呈する。
表面平滑、境界明瞭、弾性硬、可動性良好な無痛性腫瘤。妊娠時に一過性に増大する。まれに巨大な大きさになる巨大線維腺腫がある。
マンモグラフィー では限局性で辺縁が明瞭な、類円形ないし分葉状で均一な等から高濃度の腫瘍陰影として認められる。比較的高齢者で陳旧化した線維腺腫では腫瘤陰影に一致して粗大な石灰化を認める。
超音波検査でも境界明瞭、辺縁整で内部エコーが均一な低エコーの腫瘍として描出され、後方エコーはやや増強するか不変。縦横比は低く楕円形を呈することが多い。エラストグラフィでは辺縁のはっきりした固い腫瘤を呈する。


穿刺吸引細胞診では筋上皮と乳管上皮の二層性を保った細胞集塊と間質細胞が散在する。
触診、画像所見から診断は比較的容易であるが、乳腺線維腺腫に所見の類似した乳癌も存在するため穿刺吸引細胞診あるいは針生検を行った方が安全である。
充実腺管癌、粘液癌、髄様癌など乳癌の中でも限局性腫瘤を呈するものとの鑑別が必要である。超音波所見では縦横比や内部エコーが参考となるが、確定診断は穿刺吸引細胞診あるいは針生検で行う。
また、腫瘍経の大きい場合は葉状腫瘍との鑑別が問題となる。針生検による組織診断のみでは葉状腫瘍との鑑別が難しい場合があり、短期間の経過観察が必要となる。細胞診において授乳性変化をきたした正常乳腺や線維腺腫からの穿刺材料では結合性が低下し、核小体が目立ち、乳癌との鑑別が難しい場合がある。
線維腺腫という診断がつけば経過観察でよい。大きいもの(4~5cm 以上)で患者が希望する場合、急速に増大する場合は腫瘤摘出術を行う。
閉経後には女性ホルモン分泌が低下するため、腫瘤は縮小し、石灰化を主体とした腫瘤になることが多い。
1) デヴィッド L サイメル・ドルモンド レニー 著、日経メディカル 編集、竹本毅 翻訳:JAMA版 論理的診察の技術 ―エビデンスに基づく診断のノウハウ―,日経BP社 2010
2) 石山公一・佐志隆士・角田博子・大貫幸二 著:マンモグラフィのあすなろ教室 (画像診断別冊),秀潤社 2007
3) 主婦と生活社 編集、対馬 ルリ子 総監修:図解 症状でわかる女性の医学BOOK―医者にいく前に読む本,主婦と生活社 2006
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