逆流性食道炎 - MyMed 医療電子教科書

MyMed(マイメド)は、究極の医療電子教科書の作成を通じて、利用者のニーズにあった理想的な医療情報サイトを作ろうというプロジェクトです。

MyMed


このページを印刷
最終更新日:2010.11.01

逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)

執筆者: 高金 明典

概要

 胃切除後症候群のひとつで,胃切除後に胃液,胆汁や膵液などが容易に食道まで逆流することにより発生する. 

病態生理

 胃切除により逆流防止機構(下部食道括約筋,His角,横隔食道靱帯など)が破綻した場合や食道裂孔ヘルニアの存在などにより消化液が食道に逆流する.胃全摘の場合は胆汁や膵液などのアルカリ性障害で,非抱合型胆汁酸とトリプシンが食道粘膜を傷害する.また,幽門側胃切除などの場合は酸の存在により抱合型胆汁酸とトリプシンによる粘膜障害が生じる.

臨床症状

 胸やけを主訴とすることが多く,その他に心窩部痛,背部痛,嚥下障害などの症状がある.特に夜間から早朝の訴えが多い.

検査成績

 内視鏡検査において正常粘膜と境界不明瞭な発赤や白濁により血管透見の不良になった程度のものから全周性の粘膜障害(mucosal break)を認める重症例まである.

診断・鑑別診断

 胃全摘術後や噴門側胃切除術後に多く認める.また,Billroth-II法再建での合併症としても重要である.内視鏡検査で確診となるが,重傷度分類としてLos Angeles分類を用いることが多い.

治療

 生活習慣の改善が重要である.食後すぐに横にならない,腹圧が過度にかかるような姿勢をとらないなどに注意する.また早朝に症状が出現することが多い場合は,就寝直前は食べ物を口にしないこと,上半身を20度程度起こして寝るなどを試してみる.薬物療法は粘膜保護薬や蛋白分解酵素阻害薬などを投与する.また,胃酸分泌が残っている場合は,ヒスタミンH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬が有効である.

予後

 繰り返す逆流性食道炎は難治性であり,重症例では食道狭窄をおこすこともある.

最近の動向

 幽門側胃切除後に残胃炎や残胃癌の予防も兼ねて,残胃-空腸 Roux-en Y再建を選択することがある.

執筆者による主な図書

1) 幕内雅敏 監修,荒井邦佳 編集:Knack & Pitfalls 胃外科の要点と盲点 第2版,文光堂,東京,2009年

2) 武藤徹一郎・幕内雅敏 監修:新臨床外科学 第4版,医学書院,東京,2006年

3) 東口髙志 編:NSTハンドブック 疾患・病態別の栄養管理,医薬ジャーナル社,大阪,2008年

4) 久保田哲朗・大村健二 編集:消化器癌化学療法,南山堂,東京,2009年

5) 胃癌術後評価を考えるワーキンググループ・胃外科・術後障害研究会 編集:胃癌術式と胃術後障害 そのコンセンサスの現状と解説,ヴァン メディカル,東京,2009年

執筆者による推薦図書

1) 高瀬浩造・阿部俊子 編集:エビデンスに基づくクリニカルパス,医学書院,東京,2004年

2) 内富庸介・藤森麻衣子 編集:がん医療におけるコミュニケーション・スキル,医学書院,東京,2007年

3) Jurgen Thorwald 著,小川道雄 訳:外科医の世紀 近代医学のあけぼの,へるす出版,東京,2007年

4) 財団法人先端医療振興財団・臨床研究情報センター 監修:患者・家族のためのがん緩和ケアマニュアル,日経メディカル開発,東京,2009年

5) 竹末芳生 編集:手術部位感染(SSI)対策の実践,医薬ジャ-ナル社,大阪,2005年

(MyMedより)その他推薦図書

1) 上西紀夫 編集:食道・胃外科標準手術―操作のコツとトラブルシューティング (Digestive Surgery NOW),メジカルビュー社 2008

2) 主婦の友社 編集、池上保子・羽生富士夫・喜多村陽一 監修:胃を切った人の食事―おいしく食べて治す 消化器をいたわるレシピ200 (おいしく食べて治す),主婦の友社 2003
 

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

※ この記事に関するご意見をお聞かせください。


このページを印刷

診療科別


※ マイメドでは、疾患項目の追加、および最新情報をお知らせするためにメールマガジンを配信しております。ご希望の方は下記にメールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。
  なお、次の職業の方は、職業をご選択の上、メールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。

メールアドレス: メールアドレス(確認用):
医療関係者の方はご選択ください: