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蛋白漏出性胃腸症 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.30

蛋白漏出性胃腸症(たんぱくろうしゅつせいいちょうしょう)

Protein losing enteropathy

執筆者: 清水 俊明

概要

 蛋白漏出性胃腸症とは、消化管粘膜からの血漿蛋白、とくにアルブミンの胃腸管腔への異常漏出によって生じる低蛋白血症を主徴とする症候群である1)。その病因として種々の疾患が知られているが、近年、Helicobacter pylori感染症やFontan手術後に本症をきたし、それぞれ除菌およびステロイド薬の投与により症状が改善したとする報告が認められている。

 蛋白漏出性胃腸症の治療の原則は、まずその原因を診断して原因疾患に対する治療を行い、同時に対症療法を行っていくことである。食事療法、薬物療法および外科的治療がその中心となる。

病因

 小児における蛋白漏出性胃腸症の病因として、「表1」2) に示すように種々の疾患が報告されている。本症の病態から主な基礎疾患として、リンパ系の異常を伴う疾患と消化管粘膜の異常を伴う疾患とに分類される。

 リンパ系の異常を伴う疾患としては、腸リンパ管拡張症、リンパ管腫瘍、後腹膜線維症、小腸軸捻転症、収縮性心膜炎および心不全などがあり、消化管粘膜の異常により本症を生じるものとしては、アレルギー性胃腸症、好酸球性胃腸炎、アレルギー性紫斑病、急性・慢性胃腸炎、炎症性腸疾患およびMénétrier病などがある。後者のなかには、Crohn病のようにリンパ管の異常も蛋白の漏出に関与している疾患がある。

 近年、Fontan手術後数年して本症を発症する症例が少なからず存在することが報告され注目されている3)。解剖学的および機能的な静脈系の灌流障害による腸粘膜のうっ血がその原因として考えられているが、詳細は未だ不明である。


表1 小児の蛋白漏出性胃腸症の原因

病態生理

 健常者においてもアルブミンは消化管に排出され、消化再吸収されて肝で再合成されるが、蛋白漏出性胃腸症では、アルブミンの消化管への漏出量が肝での合成能を上回るため低アルブミン血症が出現する。胃腸管腔にはアルブミンだけではなく、すべての蛋白が漏出するが、半減期の長いアルブミンやγ-グロブリンで血清濃度が著明に低下する。そのほかの蛋白としては、トランスフェリンやセルロプラスミンが、また蛋白以外にもカルシウム、鉄、銅、リンパ球および脂質なども消化管内に漏出する4)。

 消化管からの蛋白漏出の機序については不明な点も多いが、疾患によっては複数の機序が関与している可能性がある。リンパ系の異常では、全身のリンパ系の形成不全や閉塞、圧迫などによるリンパ流障害、あるいは静脈圧の上昇などによりリンパ管内圧が亢進し、拡張したリンパ管が破綻をきたし蛋白が腸管腔内へ漏出する。消化管粘膜の異常では、粘膜上皮の炎症や潰瘍、アレルギー性変化、あるいは血管透過性亢進などにより蛋白が腸管腔内へ漏出すると考えられ、粘膜の局所線溶の亢進と蛋白漏出との関係もMénétrier病などで注目されている4)。

臨床症状

 臨床症状は原因となる疾患により異なってくるが、小児の蛋白漏出性胃腸症では浮腫と消化器症状、とくに下痢の頻度が高い4)。

自覚症状


消化器症状として下痢、悪心、嘔吐、腹痛および食欲不振などが認められる。小児では成人に比して下痢を伴うことが多く脂肪便を認めることが多いが、ときには多量の蛋白を含む場合がある。便性は軟便から水様便までさまざまであるが、その発生機序については解明されていない。

 成長期に本症を発症した難治あるいは重症な症例、診断の遅れた症例、あるいは内分泌機能異常を伴う症例などでは、発育障害を伴うことがある。また、低カルシウム血症および低アルブミン血症によりテタニー症状として、けいれん、感覚異常、手足痙縮などが認められる。

他覚症状


 浮腫は低蛋白血症により生じ、初発症状であることが多く、唯一の症状であることも少なくない。はじめは間欠的に認められ、後に持続化することが多い。顔面や四肢などに限局性に出現したり全身性に出現したりする。高度な場合は、胸水や腹水を伴う。低カルシウム血症によりTrousseau徴候およびChvostek徴候などが認められる。

検査成績

一般血液検査


 本症にみられる主な一般検査所見としては、低蛋白血症、低アルブミン血症、低γ-グロブリン血症、低カルシウム血症、貧血、リンパ球減少および好酸球増加などがある。

胃腸管への蛋白漏出を証明する検査


 従来131I-PVP(Gordon試験)、51Cr-アルブミンおよび131I-アルブミン(RISA試験)などを用いて、糞便中の放射活性を測定する方法が胃腸管への蛋白漏出を証明する検査として行われてきた。しかし、被曝量の問題、試薬の入手が難しいこと、あるいは蓄便の煩雑さなどから、これらの方法は現在ではほとんど行われていない。実際には、便中α1-アンチトリプシンの定量と腸管クリアランスの測定、および99mTc標識ヒト血清アルブミン(99mTc-HSA)を用いた消化管シンチグラフィーなどが小児の蛋白漏出性胃腸症の診断として用いられている。

 α1-アンチトリプシンは、蛋白漏出性胃腸症においてアルブミンと同様に消化管に漏出するが、分子量が大きく、ほとんど消化再吸収されずに免疫抗原性を保ったまま糞便中に排泄される。便中および血清α1-アンチトリプシンを定量し、次式よりα1-アンチトリプシンの1日排泄量および腸管クリアランスを求める5)。

 α1-アンチトリプシン1日排泄量(mg/日)=FxV
α1-アンチトリプシンクリアランス(ml/日)=FxV/P
便中α1-アンチトリプシン濃度:F mg/g
血中α1-アンチトリプシン濃度:P mg/ml
糞便量:Vg/日(3日間蓄便)

 成人の正常値は1日排泄量が60mg/日以下であり、クリアランスが20ml/日以下である。本症ではともに高値を示すが、小児の正常値は体重換算での評価が必要と思われる。1回便での便中α1-アンチトリプシン濃度の測定も有用と考えられ、小児の非水様便での正常値は0.33mg/gとされている6)。α1-アンチトリプシンは、pH3以下の胃液中では破壊されて検出されなくなるので、胃からの蛋白漏出を診断するさいは、H2受容体拮抗薬の投与などが必要となってくる。

 99mTc-HSAを用いた消化管シンチグラフィーでは、消化管への蛋白漏出の証明とともに、経時的な検討によリ漏出部位の推定が可能である7)。99mTc-HSAは心プールスキャンに汎用されていることから入手は容易であり、簡便に行えるため、本法は蛋白漏出性胃腸症のスクリーニング検査および画像診断法として有用と考えられている。蛋白漏出が著明ではない症例では、漏出部位の推定が難しい場合があり、撮影時間の変更や延長、あるいは腸蠕動を抑制する薬剤の併用などが必要と考えられている。最近、99mTc-DTPA-HSAが99mTc-HSAに比してより鋭敏であるとの報告もみられ、今後の実用化が期待される8)。

X線検査、内視鏡検査、および生検


 Ménétrier病では胃造影検査により巨大皺襞像が認められ、腸リンパ管拡張症では小腸造影検査により粘膜浮腫や粗大化、腸管拡張像あるいは過分泌像などが認められる。リンパ管造影では、腸リンパ管拡張症でリンパ管の形成不全、胸管の閉塞蛇行、副行路形成による異常走行、後腹膜リンパ管の網目状の増加や造影剤の腸管への逆流、腹腔内への 湓出などがみられるが、同様の所見はその他の蛋白漏出性胃腸症でも認められる9)。

 蛋白漏出を伴うMénétrier病、びらん性胃炎、Cronkhite-Canada症候群では、胃内視鏡において胃体部体彎を中心とした巨大皺襞像と鍾乳洞のように胃液がぽたぽたと分泌される像がみられる。腸リンパ管拡張症では、小腸内視鏡で散布性白点、白色絨毛、乳糜様物質の粘膜付着像などの所見を認め、小腸生検では粘膜固有層や粘膜下組織のリンパ管腔の拡大を認める。腹腔鏡では、原疾患に特有の所見のほかに、小腸漿膜や腸間膜のリンパ管拡張および乳糜腹水などが認められる9)。

 小腸生検は、小児の本症を診断していくうえで非常に重要な検査であり、小腸粘膜傷害やリンパ管拡張の有無、あるいは鬱血の程度などを知るのに必須である。

診断・鑑別診断

 浮腫、下痢、および体重増加不良などを主症状とし、低蛋白血症や低アルブミン血症が認められ、蛋白摂取不足、消化吸収障害、蛋白尿、肝障害、内分泌異常、あるいは慢性感染症などが除外されれば蛋白漏出性胃腸症が疑われる。さらに、胃腸管への蛋白漏出を証明する検査、X線検査、内視鏡検査、および組織学的検査などの結果から本症の診断を行っていく9)。

 鑑別疾患としては、摂食障害、吸収不全症候群、ネフローゼ症候群、肝不全、慢性炎症性疾患、リンパ管異常などがある。

治療

食事療法


 食事の基本は高蛋白低脂肪食とし、脂肪としては消化吸収されやすく、吸収後リンパ系に入らず門脈に直接入り、リンパ管内圧の上昇をきたさない中鎖脂肪酸からなるトリグリセリド(medium chain triglyceride、 以下MCTと略す)を投与する。実際にはMCTミルク、MCTオイル、MCTパウダーなどが使用される。成分栄養は、脂肪をほとんど含まずリンパ管内圧を上げずに栄養補給が可能であるが、MCT投与時と同様に必須脂肪酸欠乏症を予防するために脂肪乳剤の経静脈投与を併用する。必須脂肪酸強化MCTミルクあるいはエレンタール-Pでは必須脂肪酸が強化されているため、長期に及ぶ場合はこれらへの変更も考慮する。下痢が遷延し、低栄養状態が著しい例では高カロリー輸液を開始する。アレルギー性胃腸症に対しては、牛乳蛋白などのアレルゲンを除去するために、ガゼイン水解乳や成分栄養剤などを投与する。

薬物療法


 浮腫や腹水に対して各種利尿薬が用いられ、下痢や腹痛に対しては止痢薬、抗コリン薬および整腸薬が投与される。低蛋白血症に対してはプラズマネートやアルブミンの点滴静注を行う。ステロイド薬は炎症性腸疾患やアレルギー性胃腸症に、抗プラスミン薬はびらん性胃炎やMénétrier病に有効である。そのほか、欠乏の程度に応じてカルシウム、鉄、脂溶性ビタミン、ビタミンB12および葉酸などが投与される。

 Fontan手術後に認められる本症に対して、ステロイド薬の投与により蛋白漏出が改善することが経験されている。機序としてサイトカイン産生の抑制など何らかの免疫反応に対する効果が考えられる。また、ヘパリン療法が有効であったとする報告も最近なされ、今後期待される治療法として注目されている10)。

 近年、Ménétrier病の発症にH.pylori感染が関与するという報告が散見される。抗菌薬およびプロトンポンプ阻害薬投与による除菌治療を行って症状の改善を検討した報告では、除菌成功後に胃粘膜病変および臨床症状が完全に消失した症例も認められている11)。

外科的療法


 Ménétrier病、Crohn病、多発性潰瘍、ポリポージス、悪性腫瘍など病変が限局する場合には、病変部位の切除により症状の改善が期待できる。腸リンパ管拡張症では、胸管-鎖骨静脈吻合術などのリンパ管静脈吻合や、原因となっている後腹膜の線維化の除去などが有効な場合がある9)。収縮性心膜炎では心膜剥離術により、またFontan手術後の本症に対しては心房開窓術により静脈圧を低下させることにより低蛋白血症の改善が認められる3)。Hirschsprung病、血管腫、腸回転異常症、および小腸軸捻転症なども外科的処置が必要となる。

予後

 本症の生命予後はおおむね良好であるが、成長期の低栄養により発育障害を認める場合もある。また、原疾患によって予後が左右されることも少なくない。

最近の動向

 本症の治療として、ソマトスタチンアナログ(octreotide)の有効性が散見されるが、その作用機序も含め、今後さらなる検討が必要である。

参考文献

1) 清水俊明:蛋白漏出性胃腸症.小児内科29(増刊号):130-133,1997

2) GraceyM, AndersonCM: Intestinal lymphangiectasia and other causes of protein-losing gastroenteropaties. In Gracey M, Burke V(eds): Paediatric Gastroenterol Hepatol. Blackwell Scientific Pub, Oxford, London, pp439-440, 1993

3) Feldt RH, Driscoll DJ, Offord KP, et a1: Protein-losing enteropathy after the Fontan operation. J Thorac Cardiovasc Surg 112:672-680, 1996

4) 高橋恒男:蛋白漏出性胃腸症. 木原彊, 他編:新消化器病学, 医学書院, 東京, pp495-502, 1984

5) 朝倉均, 三浦総一郎, 田中伸, 他:消化吸収障害の検査, α1-アンチトリプシンによる蛋白漏出試験. 臨床消化器内科3:221-227, 1988

6) Catassi C, Cardinali E, D'Angelo G, et a1: Reliabi1ity of random fecal α1- antitrypsin determination on nondried stools. J Pediatr109:500-502, 1986

7) 尾崎由和, 野瀬宰, 位田忍, 他:蛋白漏出性胃腸症の診断における99mTc標識ヒト血清アルブミンを用いた消化管シンチグラフィーの有用性. 日児栄消誌4:278-282, 1990

8) 佐藤友保, 中西敏夫, 谷口金吾, 他:蛋白漏出性胃腸症における99mTc-DTPA-HSAscintigraphyの有用性の検討-99mTc-HSAとの対比.核医学33:1091-1095, 1996

9) 鈴木宏:蛋白漏出性胃腸症. 小林登, 多田啓也, 薮内百治編:新小児医学大系, 小児消化器病学II, 中山書店, 東京, pp107-117, 1980

10) Donnelly JP, Rosenthal A, Castle VP, et a1: Reversal of protein-losing enteropathy with heparin therapy in three patients with univentricular hearts and Fontan palliation. J Pediatr130:474-478, 1997

11)Madsen LG, Taskiran M, Bytzer P: Ménétrier’s disease. Another Helicobacter pylori associated disease? Ugeskr Laeger 162: 4250-4253, 2000

執筆者による主な図書

1) 清水俊明 著:急性腹症とは?,『小児内科』 特集,東京医学社,2008

2) 清水俊明 著:腸内細菌叢とプロバイオティクス,『小児内科』特集,東京医学社,2007

3) 清水俊明 著:小児の胃炎、消化性潰瘍、Helicobacter pylori感染症,『小児内科』特集,東京医学社、2007

4) 清水俊明 著:小児の炎症性腸疾患,『小児内科』特集,東京医学社,2005

(MyMedより)推薦図書

1) 五十嵐正紘 監修、絹巻宏、熊谷直樹 編集:外来小児科初診の心得21か条 (総合診療ブックス) ,医学書院 2003

2) 真部淳・上村克徳 著・翻訳:小児科研修の素朴な疑問に答えます,メディカルサイエンスインターナショナル 2008

3) 五十嵐隆 編集:小児科学 改訂第9版,文光堂 2004
 

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