十二指腸良性腫瘍 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.15

十二指腸良性腫瘍(じゅうにしちょうりょうせいしゅよう)

執筆者: 石神 浩徳

概要

 十二指腸良性腫瘍は比較的稀な疾患である。乳頭部を除く原発性十二指腸腫瘍は剖検例でみられた腫瘍の0.02~0.5%にすぎず、良性腫瘍はその半数以下である。上皮性腫瘍では腺腫、非上皮性腫瘍では平滑筋腫の頻度が高い。

 他に極めて稀な腫瘍として、上皮性ではBrunner腺腺腫、非上皮性では線維腫、脂肪腫、嚢腫、リンパ管腫、神経線維腺腫が報告されている。 本稿では十二指腸腺腫について述べる。内視鏡検査施行例の検討では0.04%に指摘されている。十二指腸腺腫は60代に多く、男女比は約2:1である。部位別では下行脚、次いで球部に多くみられる。

病因

 十二指腸にはリンパ組織が豊富であること、生理学的に食物の通過が速く内容が液性かつアルカリ性であること、腸内細菌叢が少ないことなどの理由により、腫瘍の発生が少ないと考えられている。十二指腸腺腫の病因については分子生物学的検討もなされているが、現在のところ不明である。特殊な例として、家族性大腸腺腫症に伴う腺腫ではAPC遺伝子の異常との関連が指摘されている。

病態生理

 十二指腸腺腫の組織型は腺管腺腫が半数以上を占め、次いで腺管絨毛腺腫である。組織学的異型度では中等度異型のものが多い。

臨床症状

自覚症状


 通常は無症状であり、内視鏡検査の際に偶然発見されることが多い。稀ではあるが、大きな腫瘍では通過障害による嘔気や心窩部不快感、出血を伴う腫瘍では下血がみられる場合がある。

他覚症状


 特異的な異常所見はみられないことが多い。

検査成績

 内視鏡検査では、表面が結節状または微細顆粒状の無茎性隆起としてみられることが多い。色調は白色調のものが多いが、同色調のものもみられる。一般に大きさは不変であることが多いが、経過観察に伴って増大するものもある。拡大内視鏡検査、超音波内視鏡検査や低緊張性十二指腸造影も診断に有用である。

診断・鑑別診断

 特徴的な内視鏡所見により診断可能であるが、確定診断は生検による。鑑別診断としては、早期癌および隆起を呈する非腫瘍性病変(Brunner腺過形成、異所性胃粘膜、リンパ管拡張症、炎症性線維性ポリープなど)との鑑別が重要である。赤色調、出血、びらんは癌を疑う所見である。

治療

 生検で腺腫と診断された場合、急速に増大する病変、および、悪性を疑う所見を有する病変は粘膜内癌を含んでいる可能性があるため、治療の対象となる。治療法では内視鏡的切除が第一選択となり、有茎性病変はスネアによるポリペクトミー、平坦型病変は内視鏡的粘膜切除(EMR)により切除される。

 最近開発された内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により大きな病変の切除も可能となったが、出血、穿孔などの合併症に注意が必要である。内視鏡的に切除不能な症例では開腹手術(局所切除)が施行されることもある。

予後

 十二指腸腺腫は癌化が稀とされている良性疾患であり、予後は良好である。

(MyMedより)推薦図書

1) 星原芳雄・光永篤・中村哲也・太田正穂 著、長廻紘 編集:消化管内視鏡診断テキスト 1 食道・胃・十二指腸,文光堂 2008

2) 笹子三津留 著:胃・十二指腸 (みる・わかる・自信がつく!消化器外科手術ナビガイド),中山書店 2009

3) 平塚秀雄 著:新版 胃・十二指腸の病気 (よくわかる最新医学),主婦の友社; 新版版 2005

4) 主婦の友社 編集、勝健一・宮本千華子 監修:おいしく食べて治す胃・十二指腸潰瘍に効く食事―消化のよいレシピ200,主婦の友社 2002

 

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ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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