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intussusceptions
執筆者: 市川 靖史
腸管の一部がそれに連なる腸管腔内に嵌入した状態を腸重積といい、これによって腸内容の通過障害を生じたものを腸重積症という。前述の通り本邦ではイレウスの原因の1.2%を占めるが、腸重積症が必ずイレウスの症状を呈するわけではない。
腸管の一部の肛門側への嵌入が主体となり生じる。
全体の90%は幼小児に生じ、4~10ヶ月の乳児に好発する。また2歳児以下の乳幼児においてはイレウスの原因の80~90%が腸重積であるという。嵌入する腸管は回盲部を含むものが最も多く全体の75%を占めるという。
腸重積の成因は、腸内の突起物が蠕動により肛門側に送られ、これに付随する腸管が一緒に先進することで肛門側腸管の中に嵌入するというものである。
成人では先進部—腺腫、癌、異所性膵、内翻したメッケル憩室など−が特定されるが、小児の場合90~95%が原因不明の特発性とされてきた。他方で小児の腸重積症の20~30%に腸間膜リンパ節炎、リンパ節腫大などの気質的原因があったとされる報告もある。興味深いことに小児の腸重積症患者で便の検索を行ない得たうちの約60%にウィルス、細菌が分離されたとの報告もあり、感染症は原因のひとつとして重要であると考えられる。回盲部が様々な感染症の好発部位であると同時に、腸重積の好発部位であることは、無視できない事実である。消化管粘膜の免疫システムのひとつとして働いているパイエル板の肥厚が先進部位となることも報告されている。
[臨床症状と検査成績]
小児腸重積の三主徴は腹痛、嘔吐,血便とされ、また他覚的症状として上臍部にソーセージ様の腫瘤を触知することが知られる。しかし3主徴が揃うことはまれであり、血便が認められるのは20%以下といわれる。
成人の場合腸閉塞症状が主徴となるが、腸重積に特長的な症状はない。超音波検査、およびCT検査により 1)pseudokidney sign、
2)target like appearance、
3)humberger appearance、
4)multiple concentric sign
などの層状構造を呈する腫瘤像が認められれば容易である。注腸造影上良く認められる所見は「蟹爪状」所見である。
小児の場合非観血的な方法として透視下での造影剤あるいは生理的食塩水を用いた高圧浣腸法が一般的であるが、X線照射の影響もあるため最近では、超音波画像診断下に,空気を注腸して整復する方法が一般的になりつつあるという。旧来使用されていたバリウムは穿孔時のバリウムによる腹膜炎が心配されると同時に被爆の問題もあるため適切でないという意見も多い。成人では腫瘍、特に悪性腫瘍が原因となっていることが多いため、穿孔時の悪性腫瘍の播種を考えた場合、高圧浣腸ではなく、観血的整復法−手術−が選択される。
観血的整復の際にはいわゆるHatchinsonの手技を行い、外筒となっている腸管を絞るように嵌入腸管を押し出す。内筒となっている腸を引っ張ってはいけない。解除不能な場合、解除後も腸管の循環障害が取れない場合、腫瘍などの器質的疾患が存在する場合には腸切除を要する。
1) 杉原健一・杉田昭 編集:大腸・小腸 (みる・わかる・自信がつく!消化器外科手術ナビガイド) ,中山書店 2009
2) 金森勇雄・井戸靖司・畑佐和昭・他 著:最新・腹部超音波検査の実践 [診療画像検査法],医療科学社 2008
3) 市川 光太郎 著・編集:小児科疾患アルゴリズム,中山書店 2009
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