腸管癒着症 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.15

腸管癒着症(ちょうかんゆちゃくしょう)

Peritoneal adhesion

執筆者: 名川 弘一

概要

 腸管相互間あるいは腸管と腹膜との間に生じた癒着が原因となり、腸管運動の障害と腸内容のうっ滞によって、腹痛や腹部膨満感が生じた病態を腸管癒着症という。

病因

 腹膜に生じた炎症の治癒過程において、血漿やリンパ液の滲出あるいは血液の溢出によって生成されるフィブリンなどが原因となって生じた腹膜の結合組織性癒着が病因である。原疾患としては、開腹手術によるものが圧倒的多数を占める。開腹手術以外の原因としては、非手術虫垂炎、腹膜結核、婦人科疾患、腹部外傷などがあげられる。

病態生理

 癒着により、小腸蠕動波の振幅低下が起こり、腸内容の移送低下が生じるとされている。一方、腸内容の通過障害のため、腸管蠕動の異常亢進も起こり、腹痛などの諸症状を惹起する。単純性癒着性イレウスに至る前段階と考えられる。

臨床症状

自覚症状

 多くは癒着の生じた部位に腹痛を認める。また、腹部膨満感、腹部不快感、腹鳴、悪心、嘔吐、食欲不振、便通異常などの症状もみられる。イレウスにいたらないかぎり、これらの症状の程度はいずれも強いものではなく、不定愁訴としてとらえられることがある。一般には症状と腸管癒着との関係が不明瞭なことも多く、精神的な要素によって腹部の不定愁訴を訴える場合も少なくはない。また癒着の程度と症状は必ずしも一致しないともいわれている。

他覚症状

 特徴的なものはない。軽度の圧痛や腸雑音の亢進を認めることが多い。腸管と腹壁の癒着部に圧痛を伴う硬結を触知することがある。

検査成績

 腹部単純X線像で、小腸ガス像を認めることがあるが、それ以外の異常検査所見を認めないことが多い。ガス鏡面形成像でイレウス所見の有無をチェックする。これは治療方針に関係してくるため、重要である。消化管造影X線検査では腸管の屈曲、拡張、移動性の低下などの所見を認めることがある。さらに腸内容の通過遅延の有無や通過障害の部位診断のため、腸追跡検査を行なうこともある。

治療

 一般的には温罨法や食事療法などの保存的治療が行なわれる。食事療法としては腸管の蠕動を抑え、便通を良くするために、残渣が少なく消化の良いものの摂取を勧める。症状の強い場合には対症的に腸管運動改善薬、抗コリン薬、緩下剤、鎮痛剤などの薬剤を投与する。

 保存的治療にて症状が改善しない場合には、外科的に癒着の剥離や腸管の部分切除が行われる。ただし、外科治療後に再度腸管癒着を呈する可能性があり、繰り返す腸管癒着のためにpolysurgeryとなる患者も少なくなく、外科治療の適応決定には慎重を要する。

 イレウスを合併した場合には、イレウスの治療に準ずる。

参考文献

1) 壬生隆一:腸管癒着症.今日の治療指針2006年版、山口徹、他(編)、pp364-365、医学書院、東京 2006

2) 磯野可一、他:腸管癒着症、内科学書2、島田馨、他(編)、p1777、中山書店、東京 2002

(MyMedより)推薦図書

1) 検見崎聡美・林田 康男監修:胃・腸・手術後の人の食卓 (美味しい・ヘルシー・クッキング),保健同人社 2000

2) 下間正隆 著:カラーイラストでみる外科手術の基本―ILLUSTRATED BASIC SURGERY,照林社 2004

3) 竹内登美子 著:周手術期看護〈3〉開腹術・腹腔鏡下手術を受ける患者の看護,医歯薬出版 2000
 

免責事項

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