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mucocele of the appendix
執筆者: 岡田 真樹
虫垂の内腔に粘液が貯留し嚢胞状に腫大した状態を粘液瘤mucoceleという。その原因として粘膜の過形成から悪性腫瘍まですべてが含まれ、ひとつの疾患単位を指してはいない。
発症年齢は50-60歳代に多く、また女性に多い。
組織学的に次のように分類される。
虫垂粘膜が限局して隆起し内腔を閉塞する。通常の大腸過形成性ポリープと同様の組織像を示す。
粘液瘤mucoceleの大部分を占める。乳頭状に増殖する粘液産生腺腫で良性腫瘍である。虫垂末梢では虫垂壁は薄くなり潰瘍や石灰化を伴う。内圧が上昇すると穿通、穿孔を起こす。ときに卵巣の粘液嚢胞腺腫を伴う。
悪性腫瘍であるが、良性である粘液嚢胞腺腫と肉眼的および組織学的には近似する。粘膜下層以深の虫垂壁への浸潤像を認めるか、腹腔内に穿破した粘液内に上皮細胞を認めれば悪性と診断できる。
その他子宮内膜症やカルチノイドなどが虫垂内腔を閉塞し粘液瘤を形成することもある。
右下腹部痛、腫瘤触知、発熱、便通異常などがあるが、20-30%では無症状であり、開腹時や剖検時に偶然認められることがある。一方で、粘液瘤の破裂・穿孔または捻転により急性腹症として手術されて診断されることもある。また腸重積やイレウスの原因となることもある。
血液検査では、しばしば血清CEA値の上昇を認める。腹部単純X線では、腫瘤が大きければ軟部組織腫瘤として認められる。石灰化を認めることもある。大腸内視鏡検査では、虫垂開口部は同定できないことが多く、盲腸の壁外性腫瘤として認められる。注腸造影検査では、虫垂は造影されず、盲腸の粘膜下腫瘍あるいは壁外性圧迫像を認める。
腹部超音波検査では、無エコーから低エコーを示す嚢胞性腫瘤として描出される。貯留する粘液の性状によっては不均一な内部エコーとなることもある。腹部CT検査では、盲腸から連続する嚢胞性腫瘤として認められる。嚢胞壁の石灰化を伴うことがある。CTでは卵巣病変の合併に注意しておく必要がある。
虫垂や回盲部原発の腺癌、カルチノイド、腸間膜腫瘍・嚢腫・血腫、重複腸管、虫垂周囲膿瘍、卵巣・卵管原発の腫瘍など。
粘液瘤を破らずに虫垂間膜を含めて虫垂切除を行う。周囲と硬く癒着し浸潤が疑われれば、回盲部切除や右半結腸切除が必要となる。手術では卵巣病変の合併の有無に注意しなければならない。
腹腔内へ穿破していなければ予後は良好である。リンパ節転移や血行性転移はまれである。同時性または異時性の大腸腫瘍を伴うことがあるので注意が必要である。
1) 岡田真樹 著:腸間膜、虫垂.新臨床外科学第4版:587-596, 2006,東京、医学書院
1) 牧野尚彦、篠原尚 著:イラストレイテッド外科手術,医学書院
2) 加藤高明 著:3D Anatomy,日本医事新報社
3) 佐々木克典 著:外科医のための局所解剖学序説,医学書院
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