乳管内乳頭腫 - MyMed 医療電子教科書

MyMed(マイメド)は、究極の医療電子教科書の作成を通じて、利用者のニーズにあった理想的な医療情報サイトを作ろうというプロジェクトです。

MyMed


このページを印刷
最終更新日:2010.11.15

乳管内乳頭腫(にゅうかんないにゅうとうしゅ)

intraductal papilloma

執筆者: 太田 智彦

概要

定義、分類


 乳管上皮から管腔内に乳頭状に増殖した良性上皮性腫瘍。

 乳頭の近くに孤立性に発生する孤立性乳管内乳頭腫と末梢側に多発する多発末梢性乳管乳頭腫がある。

 乳管が嚢胞状拡張したものを嚢胞内乳頭腫という。


疫学(頻度、好発年齢、部位)


 好発年齢は40歳代。乳頭に近い主乳管に生じる孤立性のものが多く、多発末梢性のものはまれである。

病態生理

 乳管内に生じる乳頭状増殖性病変で毛細血管を伴う結合織性の茎を有する。乳管上皮と筋上皮の二層性がみられる。

臨床症状

 褐色から黒褐色の血性乳頭分泌あるいは黄色粘稠な乳頭分泌が主症状であることが多い。通常数mm 以下の病変であり、腫瘤を触知しないことが多いが、大きくなると軟らかい表面平滑な類円形の無痛性腫瘤として触知する。典型例では病変部の圧迫で血性乳頭分泌を認める。嚢胞内乳頭腫では嚢胞を触知する。

検査成績

 乳頭分泌を認めた場合には、テステープによる血性分泌の判定をする。

 マンモグラフィー では腫瘤を検出できないことが多い。

 超音波検査では典型例で拡張した乳管内あるいは嚢胞内の乳頭状に突出した腫瘤像を認める。一見線維腺腫様の像を呈することもあるが、エコーフリーな部分が存在するか、後方エコーの増強が線維腺腫に比較して顕著であることが多い。

 MRIでは乳管を描出することができ、乳管内乳頭腫は造影効果の高い乳管内占拠病変として描出される。



 乳管内視鏡では、乳管内の隆起性増殖性腫瘤を直接みることができる。その色調は灰白色から褐色と一定ではない。乳管内視鏡にて組織診断を行う事も可能である。




診断・鑑別診断

 上記の画像診断に加え、乳頭分泌物の細胞診および可能であれば穿刺吸引細胞診や針生検をおこなう。
血性乳頭分泌や、乳管内占拠病変を呈する、非浸潤性乳管癌との鑑別が重要である。マンモテックによる分泌液のCEA値および分泌物の細胞診が参考となるが、これらが陰性であっても非浸潤性乳管癌を否定することはできない。多発末梢性のものでは良性病変の中に一部に癌が含まれていることもあり、鑑別には外科的切除を行い、病理検査が必要となる。

 比較的大きなものでは触診および超音波所見で線維腺腫と鑑別を要する場合がある。

治療

 孤立性乳管内乳頭腫あるいは嚢胞内乳頭腫では腫瘤部のみを切除する。多発性のもの診断と治療をかねて乳管区分切除術(microdochectomy)を行う。孤立性のものでは乳管内視鏡下切除術も可能である。

予後

 多発末梢性のものは再発することもあり、また異型乳管過形成 atypical ductal hyperplasiaや非浸潤性乳管癌の合併する率が高く、注意深い経過観察が必要である。

(MyMedより)推薦図書

1) デヴィッド L サイメル・ドルモンド レニー 著、日経メディカル 編集、竹本毅 翻訳:JAMA版 論理的診察の技術 ―エビデンスに基づく診断のノウハウ―,日経BP社 2010

2) 石山公一・佐志隆士・角田博子・大貫幸二 著:マンモグラフィのあすなろ教室 (画像診断別冊),秀潤社 2007

3) 主婦と生活社 編集、対馬 ルリ子 総監修:図解 症状でわかる女性の医学BOOK―医者にいく前に読む本,主婦と生活社 2006

 

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

※ この記事に関するご意見をお聞かせください。


このページを印刷

診療科別


※ マイメドでは、疾患項目の追加、および最新情報をお知らせするためにメールマガジンを配信しております。ご希望の方は下記にメールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。
  なお、次の職業の方は、職業をご選択の上、メールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。

メールアドレス: メールアドレス(確認用):
医療関係者の方はご選択ください: