マルファン症候群 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.12

マルファン症候群(まるふぁんしょうこうぐん)

Marfan syndrome

執筆者: 竹下 克志

概要

 マルファン症候群とは体の骨組みである結合組織に異常をきたす疾患です。多くの患者さんで15番染色体の上にあるフィブリリン1の遺伝子異常があります。発症頻度は5千から1万人あたりに1人といわれています。マルファン症候群の方によく見られるからだの特徴として高身長、長い手・足、指趾が有名ですが、他にも高度の近視や漏斗胸や鳩胸といった胸郭の変形、側弯症なども起こります。しかし、治療上もっとも重要なものは心臓・血管の病変です。

病因

 多くの場合、15番染色体の上にあるフィブリリン1の遺伝子異常があり、常染色体優性といわれるパターンの遺伝性があります。他の遺伝子異常として 3番染色体のTGFBR遺伝子の異常がある患者さんがいることが最近わかりましたが、それ以外の遺伝子異常もあるのではないかと考えられています。

病態生理

 マルファン症候群ではさまざまな結合組織の構成体の重要な一つであるフィブリリンの異常があるために結合組織が脆くなっています。

臨床症状

自覚症状


 血管では解離や拡大がおこりやすく、大動脈解離などの重篤な疾患を起こす危険があります。眼ではレンズである水晶体を支える組織が破綻することで、水晶体偏位を起こし高度な近視や複視などの症状がおこります。体の関節も弱いために胸郭の変形や脊柱変形がおこります。

検査成績

 血管・心臓については胸部X線・超音波検査・CTなどが行われます。

診断・鑑別診断

 ゲント基準とよばれる診断基準がもっとも使用されています。血縁者のマルファン症候群の存在、骨格・眼・循環器などの症状のチェックによりマルファン症候群かどうかの判断を行うようになっていますが、小児などでは必ずしもゲント基準の使用が適当でない場合もあります。マルファン症候群の方の遺伝子異常はすべてわかっているわけではないので、現在のところ病気の診断のための遺伝子診断は推奨されていません。

治療

骨・関節領域に関して


 骨格の異常で日常生活上問題となるものは脊柱変形(側弯症)(写真)と漏斗胸、偏平足障害です。マルファン症候群でおこる側弯症の大規模な研究は世界中どこにもありませんので、一般的な側弯症について知っておくことが必要です。側弯症の項を参照下さい。マルファン症候群の方は装具の効き目が弱いといわれており、進行した場合は手術治療が必要となります。

 マルファン症候群の方の側弯症は出血量が多いこと、何度かの手術が必要な場合があることが知られています。手術治療を行う上で側弯症自体とは別に、他の器官からくる問題があります。特に循環器系の症状が重い場合は、比較的大きな側弯症手術に耐えられる程度に心臓の機能が保たれているかどうかの判断が必要となる場合もあります。

 また、すでに弁置換手術を受けて抗凝固薬を内服なさっている場合、手術治療は不可能です。漏斗胸の治療は心臓外科・胸部外科で行われます。程度が強い場合は手術治療が行われることもあります。偏平足は痛みに応じて鎮痛剤の内服や装具治療を行います。変形が強く、上記治療でも痛みが強い場合は関節固定術などの手術治療を検討することもあります。

予後

心臓手術が発達する以前はそのために壮年期以降に突然死につながることが珍しくなかったため、平均寿命の短い病気でした。現在では画像診断の発達と心臓外科手術の進歩によって、未治療でなければかなり平均寿命に近づいているといわれています。

最新の動向

 降圧剤の服用によって心・血管障害のリスクを低くできる可能性が指摘されています。

(MyMedより)推薦図書

1) 日本側湾症学会 編集:改訂版 知っておきたい脊柱側弯症,インテルナ出版 2003

2) 夏緑 著:ポケット図解 遺伝子とDNAがよーくわかる本,秀和システム 2008
 

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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