尿道下裂 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.02

尿道下裂(にょうどうかれつ)

Hypospadia

執筆者: 多田 実

概要

 外尿道口が正常の亀頭部先端まで作成されず、亀頭部から会陰にかけての陰茎腹側に後退して位置する異常である。多くは陰茎の屈曲を伴う。頻度的には男子出生1000例のうち3例程度である。

病因

 胎生8~16週にかけて陰茎腹側の尿道板が管状化していき尿道を形成するが、融合不全のため、尿道が管状化されないことが原因である。この尿道発成過程には男性ホルモンが必要であるため、男性ホルモンの産生あるいは作用を阻害する因子、たとえば流産予防薬として一時期使用された黄体ホルモンなどが病因の1つとして考えられる。

病態生理

病態生理 /臨床症状/検査成績/診断/鑑別診断

 外尿道口の位置にもよるが中等度~高度例では立位での排尿が困難であり、座位での排尿を余儀なくされる。形成されなかった尿道部分を被覆するため腹側に屈曲を呈する。これらが索(chordee)を構成し、陰茎屈曲、特に勃起時に著しくなり、将来的な性交困難につながる。診断は視診にて行われるが、屈曲を修正後の外尿道口の位置により、Distal, Midshaftal, Proximalの各タイプに程度別に分類される。 CWH(chordee without hypospadia):尿道下裂に類似した形態的異常である。外尿道口が健常児と同様に亀頭部先端に位置しているにもかかわらず、陰茎が屈曲している状態。

治療

 最近はほとんど一期的形成術が行われるが、以下の2つのことを十分留意しなければならない。 1)索を完全に除去して、勃起時にも陰茎の屈曲が全くない状態とする。 2)作成した尿道は亀頭内をとおり、亀頭先端部に新外尿道口を作成することである。

1)索切除:

 索を構成しているのはi skin chordee、ii 不完全尿道板、不完全尿道海綿体、iii 腹側白膜の短縮の3要素である。skin chordeeには環状切開ののちdartos mobilizationを、不完全尿道板、不完全尿道海綿体は切除を、腹側白膜の短縮には背側白膜の短縮手技を行う。索切除が完全であるかを確認するため人工勃起(陰茎を一時的にクランプして生食を陰茎海綿体内に注入する)を必ず施行する。



2)尿道形成術:

 数多くの方法が報告されている。 Distal,Midshaftalタイプは尿道板を利用したSnodgrassのTIP法(Tubularized incised plate法)や小柳、野々村によるOUPF II 法(One-stage urethroplasty with parameatal foreskin flap II 法)などが、ProximalタイプではOUPF 法やYoke法などが行われている。作成した尿道が亀頭内をとおり、亀頭先端部に新外尿道口を作成するためには亀頭部横径(容積)が約15mm以上あることが望ましい。よって術前に亀頭部横径が不足している場合、男性ホルモン軟膏を使用して局所的に亀頭を大きくしている。

予後

 当科における成績はDistal,Midshaftalタイプで主にOUPF II 法を51例施行し86%(44/51)、ProximalタイプではOUPF IV法を78例行い74%(55/78)の一次治癒率である。尿道皮膚婁孔が生じた場合は自然閉鎖を期待して経過観察とし、創部が安定化する6~12カ月後に閉鎖術を行っている。

最近の動向

1)二重オムツ法:ポリウレタン製の7Fr栄養チューブを利用してカテーテル出口を二重にはかせたオムツの間に挟み込む。患児を抑制する必要がなく、早期の退院が可能である。

2)創部被覆剤:アルギン酸塩創傷被覆剤、親水性コロイド皮膚被覆剤、テガダームなどを利用し、術創部の保護が行われている。

参考文献

1) 野々村克也、他:尿道下裂、陰茎前位陰嚢。図説泌尿器科学講座5,小柳知彦、他(編)、p110-121、メジカルビュー社、東京、1991

2) 山崎雄一郎:泌尿器科領域―尿道下裂の手術。小児外科、37(12), p1452-1458, 2005

(MyMedより)推薦図書

1) 寺島和光 著:小児科医のための小児泌尿器疾患マニュアル,診断と治療社 2006

2) 岡田正 著:系統小児外科学,永井書店 2005
 

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