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最終更新日:2008.11.21

22q11.2 deletion症候群(にじゅうにきゅういちいちてんにでりーしょんしょうこうぐん)

22q11.2 deletion syndrome

執筆者: 澁谷 和彦

概要

 22q11.2 deletion症候群は、染色体異常症の一つで、22番染色体長腕である22qの一部であるq11.2の欠失( deletion )が認められる。臨床上の特徴として、特異的な顔貌、胸腺の低形成、副甲状腺の低形成、心室流出路から大血管の異常をともなった先天性心疾患などを合併することが多い。この染色体領域“22q11.2”の意味は、“22q”が22番染色体長腕(q)、“11.2”が領域番号1のバンド番号1.2であり、『にじゅうにきゅうじゅういちてんに』と読み誤ることが多いが、『にじゅうにきゅういちいちてんに』が正解である。
 以前、同症候群に関して、小説の題名から用いられるようになった「CATCH22」という用語で呼ぶことがあったが、この用語にはマイナスのイメージが強いため、現在は、病名として使用するのは不適切とされているので注意を要する。

病因

 染色体の微細欠失の中では、最も頻度が高いと言われている。一般には散発の症例だが、常染色体優性遺伝形式をとる症例の報告もある。

病態生理

 22q11.2領域の欠失により頭部の神経堤細胞の遊走に障害が生じることが引き金となり、一連の臨床上の病態が発生すると考えられている。表現型は必ずしも同一ではなく、様々な環境要因により多彩な病態を呈する。

臨床症状

 臨床症状として、特異的な顔貌(眼裂狭小、眼間解離、鼻根部扁平、小顎症、耳介下方付着、粘膜下に多い口蓋裂)、胸腺の低形成(あるいは無形成)により免疫不全となるが、胸腺由来Tリンパ球による細胞性免疫が低下する。特にウイルスや結核等に対しての抵抗力が弱い。副甲状腺の低形成(あるいは無形性)があるために、副甲状腺ホルモン低下により低カルシウム血症を起こす。先天性心疾患は、ファロー四徴症、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損、総動脈幹遺残、大動脈弓離断などの円錐動脈幹領域の異常が多く、主要症状の中で、先天性心疾患が予後に最も影響を与える。また、軽度の精神運動発達遅滞を示すことも多い。

検査成績

一般の染色体検査法であるG分染法やQ分染法では、本症候群の微細欠失は診断できない。FISH法( fluorescence in situ hybridization )というクローン化したDNA断片を直接または間接的に蛍光標識したものをスライドグラス上で染色体と結合させる方法により、染色体領域“22q11.2”に欠失を確認できる。



心電図、胸部X線検査、心臓超音波検査等を施行し、先天性心疾患を診断する。胸腺低形成は、血液検査でリンパ球数、特にTリンパ球の異常を認める。副甲状腺低形成は、血清カルシウムイオン、副甲状腺ホルモンなどの測定値の異常を認める。腎臓超音波検査、脊椎のレントゲン検査などにより、腎奇形や脊椎の異常が見つかることもある。

治療

先天性心疾患に関しては、各々の心疾患に対する一般的な治療方針で対応する。心疾患の治療による病態の改善が予後を左右するため、最も治療をする上で注意を払う必要がある。低カルシウム血症は、一般にカルシウム製剤の経口投与を行うが、時に静注による補充も行われる。感染症を合併した時は、徹底した治療をする。リンパ球の異常が明らかな患児には、予防接種の生ワクチンは一般的に接種しない。抗生物質の予防的投与やγグロブリン投与を積極的に行うこともある。学習障害や言語障害を示す症例には、積極的に早期の教育や言語訓練も推奨されている。

予後

 予後に最も大きく影響するのは、先天性心疾患の重症度である。比較的難しい心臓手術が必要になる症例も少なくないため、必ずしも本症候群の予後は良好とはいえない。精神運動発達遅滞を示すことも比較的多いが、その程度は一般的に軽い。

最近の動向

FISH法検査が陰性のものが5%未満の症例にあると言われている。その場合には、さらに詳細な分子遺伝的解析法による直接的なDNA解析が必要となる。FISH法検査結果が陰性でも本症候群を否定せず、特徴的な臨床像がある程度揃えば、22q11.2 deletion症候群疑いとして対応し、臨床上合併しやすい病態に関して見落とさない注意が必要である。

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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