内反足・外反足 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.29

内反足・外反足(ないはんそく がいはんそく)

pes varus and valgus

執筆者: 芳賀 信彦

概要

 内反足・外反足とは文字通り足部が内反・外反している状態を指す。内反とは、内がえし(足の裏が内側を向き、通常は足関節が底屈する)の動きを示し(図1)、外反とはその反対で、外がえし(足の裏が外側を向き、通常は足関節が背屈する)の動きを示す(図2)。内反足・外反足の原因となる病態にはいくつかあるが、ここでは先天的な疾患として先天性内反足と先天性外反踵足、乳幼児期に明らかになる疾患として外反扁平足について解説する。

 先天性内反足(congenital clubfoot, talipes equionovarus)とは、生まれた時から足が内反位を示し、徒手的に中間位まで矯正できない状態を指す(図3)。発生頻度は1000出生に1~2程度で、男児に多い。両足の罹患例が全体の約半数を占める。

 先天性外反踵足(talipes calcaneovalgus)は、生まれた時に足部が外反踵足位を示しており、程度が強い場合は足背が下腿前面に接しているような状態を指す。初診時に、この変形は徒手的に中間位まで矯正できる場合とできない場合がある(図4)。

 外反扁平足(pes planovalgus, flexible flatfoot)は、立位あるいは歩行開始後に扁平足が明らかになり、後足部が外反している状態を指す(図5,6)。

 図1

 図2

 図3

 図4

 図5

 図6

病因

 先天性内反足の病因は不明である。

 先天性外反踵足の病因は、妊娠後期の子宮内での肢位の異常とされている。時に羊水過少に合併すること、先天性股関節脱臼や膝関節脱臼を合併することがあることから、子宮内での下肢の動きが制限され、足関節が背屈位で固定され生じると考えられている。

 外反扁平足の病因は不明である。基礎疾患のない子どもにも多い疾患であるが、ダウン症やマルファン症候群などの疾患に多く合併することから、筋低緊張や関節弛緩性に関係すると考えられる。

臨床症状

自覚症状

 
 いずれの疾患も新生児・乳児期には通常自覚症状はない。変形が残存した場合には、疼痛や足部の疲労感を訴えることがあるが、その頻度は高くない。

他覚症状


 先天性内反足では変形として、内反、内転、凹足、尖足の要素を合併しており、初診時に徒手的に中間位まで戻すことができない。
 
 先天性外反踵足では変形として、後足部の外反と、踵足変形があり、初診時に徒手的に中間位まで矯正できる場合とできない場合がある。

 外反扁平足では立位で足底アーチが消失し、後足部は外反している。つま先立ちをすると足底アーチが出現し、後足部の外反も軽快するという特徴がある。

診断・鑑別診断

 いずれの疾患も、視触診により容易に診断可能である。

 先天性内反足のX線検査では、足部側面像で距骨と踵骨のなす角度(側面距踵角)が減少し、背底面像でも距骨と踵骨のなす角度(正面距踵角)が減少するとともにこれらの骨の重なりが大きくなる。新生児では足部に力を入れると内反尖足位を示すことがあるが、これは容易に中間位に戻すことができるため先天性内反足とは区別する。また前足部の内転変形のみを示すことがあるが(先天性内転足、metatarsus adductus)、これは先天性外反踵足と同様に妊娠後期の子宮内での肢位の異常により生じると考えられ、程度が強くない症例では自然治癒する。

 先天性外反踵足のX線検査では、足部側面像で距骨・踵骨ともに背屈位にあるが、距骨・踵骨間のアライメントは正常である。鑑別するべき疾患として先天性舟底足変形がある。これはまれな変形で、足部は外反・外転位を呈し、足底内側アーチが消失し逆に膨らんでいる。X線では距骨は底屈位にありほぼ垂直になり、舟状骨は距骨頭の背側に脱臼しているため、この疾患は先天性垂直距骨とも呼ばれる。先天性舟底足変形は硬い変形で、ほとんどの症例で手術を必要とする。

 外反扁平足の側面X線検査では、縦アーチが低下し、距骨軸と第1中足骨軸が平行でなくなる。前述のように、マルファン症候群などの基礎疾患がないかに注意する。

治療

 先天性内反足の初期治療は、徒手矯正とギプスによる保持にはじまり、これに装具治療や手術療法を組み合わせるのが一般的である。これにはいくつかの方法があり、かつては内転→内反→尖足を順を追って矯正していくKite法が広く行われていたが、治療期間が長かった。近年は内転の矯正により内反も同時に矯正し、尖足に対して積極的にアキレス腱切離を行うというPonseti法が広まってきている。一方頻回の徒手矯正を基本としギプス固定を行わない方法がフランスを中心に行われている(French technique)。いずれの治療法も良好な成績が報告されており、従来保存的治療後の遺残変形に対して行われていた軟部組織解離術(後内側解離術や全周解離術)を必要とする症例は少なくなってきている。

 先天性外反踵足はほとんどの場合自然治癒するため、治療を必要としない。底屈制限があるため、ストレッチの指導のみを行う。まれに自然軽快してこない症例では、数回の徒手矯正・ギプス固定を行う。

 基礎疾患を伴わない外反扁平足の治療に関しては、放置すると変形が固定し将来痛みなどを生じる可能性があることから、早期に矯正靴や足底装具などで治療するべきとの考えが一部にある。しかし基礎疾患のない場合には、足底アーチは年齢と共に自然に形成されること、randomized studyで治療の有無に関わらず短期予後に差がなかったとの報告があることから、基本的に治療不要との考えも多い。

予後

 先天性内反足は、初期治療後に成長に伴い再発することがある。骨変形、特に距骨滑車の扁平化を生じた例では、将来変形性足関節症を発症することがある。

 先天性外反踵足では治癒後に外反扁平足を遺残することがあるといわれている。外反扁平足が残存した場合に、将来どの程度の割合で痛みなどの症状が出現するかは不明である。

執筆者による主な図書

1) 五十嵐隆、編集(芳賀信彦、共著):目でみる小児救急,文光堂

2) 藤井敏男、編集(芳賀信彦、共著):小児整形外科の要点と盲点,文光堂
3) 越智隆弘、総編集、藤井敏男、中村耕三、専門編集(芳賀信彦、共著):最新整形外科学大系 24巻 小児の運動器疾患,中山書店

4) 日本整形外科学会小児整形外科委員会編集(芳賀信彦、共著):骨系統疾患マニュアル、第2版,南江堂
5) 越智隆弘、総編集、中村利孝、吉川秀樹、専門編集(芳賀信彦、共著):最新整形外科学大系 21巻 骨系統疾患、代謝性骨疾患,中山書店
 

執筆者による推薦図書

1) Spranger JW, et al:Bone Dysplasias, 2nd ed,Oxford

2) Morrissy RT, Weinstein SL:Lovell and Winter’s Pediatric Orthopaedics,Lippincott

3) Herring JA:Tachidjian’s Pediatric Orthopaedics, 4th ed,Saunders

(MyMed)よりその他推薦図書

1) 日本小児整形外科学会教育研修委員会 編集:小児整形外科テキスト,メジカルビュー社 2004

2)坂巻豊教 編集:整形外科医のための小児日常診療ABC,メジカルビュー社 2003
 

免責事項

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