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Atlanto-axial rotatory fixation
別名: 炎症性斜頚 | グリセル症候群 | 環軸椎回旋位亜脱臼
執筆者: 竹下 克志
小児が首を横に向けたまま、正面や反対側を向けなくなる斜頚の一つ。急に首の痛みを訴え、同時に斜頚を呈する。ほとんどの場合は数日から10日程度で自然軽快するが、一部は慢性化し、その場合の治療は容易でない。
頚椎の1番(環椎)と2番(軸椎)は環軸椎関節を作り、首の回転の半分をつかさどっている”ゆるい”関節で、筋肉と強固な靭帯で保たれている。環軸椎回旋位固定では環椎と軸椎の関係が大きく回転し、ずれた位置から正常な位置に戻れなくなり、“固定”した状態となる(写真)。多くは原因不明であるが、 10%はのどの感染症に関連しておこるもの(Grisel病)と20%は手術に関連しておこるもの(くびをひねったままの長時間手術でおこる)がある。またダウン症などに見られるものもある。
小児では環軸椎関節の形態が未発達なためにおこりやすいのではないかと推測されている。大半の患者が数日で自然に治癒するが、一部は慢性化する。治癒しないまま数週間の時間が経過すると、関節自体の変形が起こり始め固定の解除が難しくなっていく。さらにC2以下の頚椎が代償性に側弯を形成し、時には靭帯の弛緩によって環軸椎亜脱臼をおこす。
軽微な外傷などをきっかけに起きる。小児が急に首の痛みを訴え、同時に斜頚を呈し、首をほとんど動かせない状態となる。Grisel病では風邪症状が先行している場合がある。
X線撮影は判読しにくいことが多い。CTは環椎と軸椎の位置関係を確認するために有効である。ただ位置関係は分かっても、“固定”された異常かどうかは分からないので、首を左右に回した位置でCTを撮影するDynamic CTが最も有用という研究が最近報告された。どの姿勢であっても環椎と軸椎の位置関係がずれたままであれば、確定診断となる。ただし、“環軸椎回旋位固定 “様症状の患者の多くは数日で自然に治癒するため、すべての患者にCTを撮影する必要性があるかどうかはわからない。
一般的には症状とX線あるいはCTから診断する。斜頚には他に筋性斜頚、骨性斜頚、痙性斜頚、眼性斜頚などがある。
慢性化すると治療が困難となることに注意する必要があるが、慢性化するかどうかの予測ができない点が大きな問題として残っている。前述の Dynamic CTが唯一有望な検査法だが、未だに米国西海岸の報告のみで確立した検査法とは言えず、最適な撮影する時期などの課題が残っている。
軽症の場合、頚椎カラーで自然治癒を期待する。Grisel病を疑った場合には抗生剤を使用する。痛みが強い場合や1週間程度のカラー装着でも治癒しない場合は入院で牽引治療を行う。それでも解除されない場合は麻酔下での徒手整復を試みる。不効例や慢性例で関節変形のために徒手整復困難な症例では手術で観血的に整復し固定する。
ほとんどの場合は数日から10日程度で自然軽快するが、一部は慢性化する。
1) Hoppenfeld 著、津山直一 翻訳 :整形外科医のための神経学図説―脊髄・神経根障害レベルのみかた,おぼえかた,南江堂 2005
2) 星地亜都司 著:Critical Thinking脊椎外科,三輪書店 2008
3) 柳下章 著:エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第2版,三輪書店 2010
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