MyMed(マイメド)は、究極の医療電子教科書の作成を通じて、利用者のニーズにあった理想的な医療情報サイトを作ろうというプロジェクトです。

MyMed


このページを印刷
最終更新日:2010.07.08

新生児マス・スクリーニング検査の異常(しんせいじ ます・すくりーにんぐけんさのいじょう)

mass-screening of newborn infants

執筆者: 浦上 達彦

概要

 早期発見し、治療することで症状の発生が予防される先天性代謝異常症と内分泌疾患の中で、発生頻度が比較的高く、信頼度の高い検査法がある疾患が新生児マス・スクリーニング検査の対象になる。本邦では、1997年から公費により新生児マス・スクリーニング検査が行なわれ、1979年にクレチン症が、1988年に先天性副腎過形成症の21水酸化酵素欠損症が新たに検査対象に加わった。
 現在新生児マス・スクリーニング検査は全国に普及し、その受診率はほぼ100%に達している。

最近の動向

 タンデムマス質量分析計(タンデムマス)を用いてアシルカルニチンとアミノ酸の定量を行うことにより、従来のアミノ酸代謝異常に加え有機酸、脂肪代謝異常症20疾患以上を対象とした新生児スクリーニングが導入され始めている。またこの他にもWilson病や胆道閉鎖症、新生児の聴覚スクリーニングも検討されている。

対象疾患

 新生児マス・スクリーニング検査の対象疾患は、先天性代謝異常症である高フェニルアラニン血症(フェニルケトン尿症、テトラヒドロビオプテリン欠損症:BH4欠乏症)、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症と内分泌疾患であるクレチン症、21水酸化酵素欠損症である。各疾患の症状の要約と発見頻度を表1に示す。
 

表1. 対象疾患と症状および発見頻度

検査方法

 実際の検査方法は、平均生後5日目(日齢4)に新生児の踵を穿刺して、少量(約0.1〜0.2mL)の血液を濾紙に採取し、各地方自治体で定められた検査機関に検体を送付して検査が行われる。

 アミノ酸代謝異常症であるフェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症については、新生児マス・スクリーニング検査が開始された当初から施行されているガスリー法に加え、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法が広く使用されている。糖質代謝異常症であるガラクトース血症については、 I 型で欠損するウラジルトランスフェラーゼ活性を測定するボイトラー法と血中ガラクトース測定の両者が使用される。またクレチン症におけるTSHの測定および21水酸化酵素欠損症における17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)の測定には酵素免疫測定法(ELISA法)が使用される。

 初回検査において異常(陽性)と判定される検査基準をカットオフ値と呼んでいる。初回検査でカットオフ値以上を示した場合には、同一検体を用いて再度検査を行い、この値もカットオフ値以上であった場合には、産科施設に再度採血が依頼される。対象疾患における検査方法の要約およびカットオフ値を表2に示す。


表2.検査方法とカットオフ値

異常を示す病態

 各検査で異常を示す疾患と病態を表3に要約する。対象疾患以外にも各種の疾患、病態で異常を認めるが、特にメチオニンとガラクトースは対象外疾患でも高値を示すことが多いため、精密検査機関では表3に示す種々の疾患、病態を考慮して鑑別する必要がある。
 

表3.検査で異常を示す疾患と病態

最近の動向

 従来行われてきた検査方法に加えタンデムマス質量分析計を用い、従来のアミノ酸代謝異常症の他に種々の有機酸・脂肪代謝異常症を対象としたスクリーニングが試みられている。またこの他にもWilson病や胆道閉鎖症、新生児の聴覚スクリーニングも検討されている。

執筆者による主な図書

1) 日本小児内分泌学会 編、浦上達彦 著:小児内分泌学, 診断と治療社

2) 日本小児内分泌学会糖尿病委員会 編、浦上達彦 著:こどもの1型糖尿病ガイドブックー患児とその家族のためにー,文光堂

3) 糖尿病学会 編、浦上達彦 著:小児・思春期糖尿病管理の手びき 改訂第2版,南江堂

4) 馬場一雄 監修、原田研介 編集、浦上達彦 著:新版 小児生理学,へるす出版

5) 五十嵐隆 編、浦上達彦:小児科診療ガイドラインー最新の診療指針, 総合医学社
 

執筆者による推薦図書

1) 大関武彦・近藤直実 総編集、浦上達彦 著:小児科学第3版,医学書院

2) 日本小児内分泌学会糖尿病委員会 編、浦上達彦 著:こどもの1型糖尿病ガイドブックー患児とその家族のためにー,文光堂

3) 糖尿病学会 編、浦上達彦 著:小児・思春期糖尿病管理の手びき 改訂第2版,南江堂

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

※ この記事に関するご意見をお聞かせください。


このページを印刷


※ マイメドでは、疾患項目の追加、および最新情報をお知らせするためにメールマガジンを配信しております。ご希望の方は下記にメールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。
  なお、次の職業の方は、職業をご選択の上、メールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。

メールアドレス: メールアドレス(確認用):
医療関係者の方はご選択ください: