発育性股関節形成不全 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.10.28

発育性股関節形成不全(はついくせいこかんせつけいせいふぜん)

developmental dysplasia of the hip

別名: 先天性股関節脱臼 | CDH | DDH

執筆者: 滝川 一晴

概要

 出生前後の環境因子や先天性因子により、大腿骨頭が関節包に包まれたままの状態で脱臼したもの。無治療では将来歩行障害(疼痛、跛行など)につながるため、乳児期より治療を行う必要がある。通常、乳児期では、リーメンビューゲル装具を使用して、脱臼した股関節を整復する(はめる)ことが多い。この方法で整復位が得られない場合は、牽引や全身麻酔下徒手整復、観血整復(手術)と整復位が得られるまで治療を行う必要がある。

病因

 出生前後の環境因子や先天性因子による多因子遺伝疾患。環境因子として出生前では、骨盤位、足位、殿位、多胎、双角子宮、子宮筋腫、羊水過少などがあり、出生後では、窮屈なおむつ、産着などがある。

病態生理

 動物実験では、股関節を伸展位に強制しておくと、股関節脱臼が起こることが知られている。新生児、乳児の屈曲位にある下肢が、上記の多様な因子により伸展位に固定されることで脱臼が発生すると考えられている。

臨床症状

自覚症状


 乳幼児期には特になし。

他覚症状


 開排制限(あしの開きにくさ)、皮膚溝非対称(太ももの皮膚のしわの数や深さの非対称)、みかけの脚長差(膝を立てた際の膝頭の高さの左右差)。歩行開始後では、跛行や腰部前弯の増強(腰の前方へのそりかたが強い)。


検査成績

レントゲン(図1)や超音波を用いて脱臼の有無や程度を評価する。

治療

 生後3ヶ月以降の乳児に対して、リーメンビューゲル装具(図2)を用いて治療する方法が一般的である。整復例ではリーメンビューゲル装具装着後2週間前後で整復が確認できることが多い。整復後も股関節が安定するまでリーメンビューゲル装具を継続する必要がある。リーメンビューゲル装具で整復位が得られない場合に、牽引治療が選択されることもある。牽引そのものにより整復を行う方法と牽引終了後に徒手整復を行う方法がある。牽引は行わずに全身麻酔下での徒手整復を行う方法もある。これら保存療法を行っても整復位が得られない場合に観血整復術(手術)を行う。

予後

 上記のいずれかの治療により殆どの脱臼は整復される。しかし、遺残性亜脱臼(外れてはいないが、屋根のかぶりが浅い状態)を生じ幼児期以降に追加治療(補正手術)が必要となる例もあるため、骨成熟(思春期)までの長期経過観察が必要である。

最近の動向

 発育性股関節形成不全という言葉は、近年使用されるようになった。従来使用されていた先天性股関節脱臼に加えて、先天性股関節亜脱臼、臼蓋形成不全症といういくつかの概念を含む包括的な言葉である。この項では狭義の先天性股関節脱臼の治療について述べた。

(MyMedより)推薦図書

1) 日本小児整形外科学会教育研修委員会 編集:小児整形外科テキスト,メジカルビュー社 2004

2) S・テリー・カナリ 著、落合直之 編集、藤井克之 翻訳:キャンベル整形外科手術書 第4巻 小児の神経障害/小児の骨折・脱臼,エルゼビア・ジャパン 2004
 

免責事項

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ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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