骨形成不全症 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.02

骨形成不全症(こつけいせいふぜんしょう)

osteogenesis imperfecta

執筆者: 芳賀 信彦

概要

 骨形成不全症は易骨折性を示す骨系統疾患の代表であり、その発生頻度は2~3万出生に1である。本症の分類法はいくつかあるが、一般的なのは SillenceによるI型~IV型の分類であり、これにColeが修正を加えている。さらに近年、V~VII型が追加されている(表1)。

 (表1)

病因

 Sillence分類のI、II、IV型およびI型の一部でI型コラーゲン遺伝子(COLlA1またはCOLlA2)の変異が判明している。遺伝子変異の部位は一定でなく、数百種類の変異が報告されている。

病態生理

 I型コラーゲンの量的・質的異常が骨脆弱性につながる詳細なメカニズムは十分に解明されていないが、骨の細胞外基質内の正常I型コラーゲンが低下するのに対し、III型、V型コラーゲンが相対的に増加し、基質の石灰化にも影響を与え、強度が低下すると考えられている。

臨床症状

自覚症状


 骨脆弱性は易骨折性や四肢・脊柱・胸郭の変形につながる。骨脆弱性の程度は幅広く、生下時にすでに骨折が多発している症例から、生涯を通じて数回以内しか骨折しない症例まである。成人後に多い骨の痛みは微小骨折に伴うと考えられている。


他覚症状


 I型コラーゲンは骨の他に、靭帯、腱、歯牙、強膜、血管などに存在するため、関節弛緩性、腱の断裂、歯牙形成不全(SillenceI B型とIV B 型)、青色強膜(SillenceI型とIII型)、心大血管の異常を合併することがある。加齢と共に頻度が高くなる難聴は、伝音性と混合性が多く、耳小骨の異常の関与が考えられている。

診断・鑑別診断

 小児期に骨折が多発し、X線で以下に述べる特徴を認めれば診断可能であり、青色強膜を認めればより確実である(青色強膜を伴わない場合もある)。骨形成不全症では膜性骨化が障害されため、長管骨はovermodelingにより骨幹部・骨幹端部が狭小化し、骨折を繰り返すことにより変形する(図 1)。頭蓋骨X線像ではWorm骨(図2)を示す。脊椎では、椎体高が低くなる(図3)。

 (図1)
 
 (図2)

  (図3)


 診断に当たっては、他の易骨折性を示す骨系統疾患および虐待に伴う多発骨折を鑑別する必要がある。易骨折性を示す骨系統疾患には、骨形成不全症と同様に全身の骨密度が低下する疾患として特発性若年性骨粗鬆症、逆に全身の骨密度が増加する疾患として大理石骨病や濃化異骨症、全身の複数部位の腫瘍類似疾患に病的骨折を伴う疾患として多骨性線維性骨異形成症や多発性内軟骨腫症などがある。未熟児くる病でも骨折が多発する。虐待との鑑別は慎重に行う必要がある。あざや火傷などの軟部組織損傷、長管骨骨幹端部のcorner fractureと呼ばれる特徴的な所見を認める場合は虐待を疑う。

治療

 骨形成不全症に対する治療の基本は、骨折の予防と変形の矯正である。乳児期には、親に対し病気の全体像と骨折や変形を予防するための児の扱い方や姿勢保持を指導する。長管骨骨折の骨癒合は通常は良好であり保存的治療を原則とするが、弯曲変形を残さずに骨癒合を得ることが再骨折の予防に重要であり、早期から積極的にキルシュナー鋼線などで髄内釘固定を行なうという考え方もある。特定の長管骨に骨折を繰り返す場合や変形が著しい場合は、矯正骨切りと髄内釘固定を行なう。薬物治療として、ビスホスホネートにより骨折頻度や骨痛の減少、骨密度や運動機能の上昇が報告されている。

予後

 適切な管理を行えば、生命予後は良好であるが、頭蓋底嵌入は突然死の危険もあり注意を要する。

執筆者による主な図書

1) 五十嵐隆、編集(芳賀信彦、共著):目でみる小児救急,文光堂

2) 藤井敏男、編集(芳賀信彦、共著):小児整形外科の要点と盲点,文光堂

3) 越智隆弘、総編集、藤井敏男、中村耕三、専門編集(芳賀信彦、共著):最新整形外科学大系 24巻 小児の運動器疾患,中山書店

4) 日本整形外科学会小児整形外科委員会編集(芳賀信彦、共著):骨系統疾患マニュアル、第2版,南江堂

5) 越智隆弘、総編集、中村利孝、吉川秀樹、専門編集(芳賀信彦、共著):最新整形外科学大系 21巻 骨系統疾患、代謝性骨疾患,中山書店

執筆者による推薦図書

1) Spranger JW, et al:Bone Dysplasias, 2nd ed,Oxford

2) Morrissy RT, Weinstein SL:Lovell and Winter’s Pediatric Orthopaedics,Lippincott

3) Herring JA:Tachidjian’s Pediatric Orthopaedics, 4th ed,Saunders

(MyMedより)その他推薦図書

1) 井上博 著:小児四肢骨折治療の実際,金原出版 2002

2) 日本小児整形外科学会教育研修委員会 編集:小児整形外科テキスト,メジカルビュー社 2004

3) S・テリー・カナリ 著、落合直之 編集、藤井克之 翻訳:キャンベル整形外科手術書 第4巻 小児の神経障害/小児の骨折・脱臼,エルゼビア・ジャパン 2004
   

免責事項

情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

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