MyMed(マイメド)は、究極の医療電子教科書の作成を通じて、利用者のニーズにあった理想的な医療情報サイトを作ろうというプロジェクトです。


cervial disorders associated with cerebral palsy
執筆者: 星地 亜都司
アテトーゼとよばれる不随意運動を伴う脳性麻痺患者では、頸椎の発育上の問題、絶え間のない頸椎の不随意運動、頸椎の亜脱臼により頸椎内部の脊髄が障害され、二次障害として脊髄障害による四肢麻痺の悪化が発生しやすい。
頸椎の不随意運動のため、成長期から頸椎の変性(椎間板変性、骨棘形成など)が発生してゆく。さらに脳性麻痺患者では頸椎前後径が長く、脊髄の通り道である脊柱管の容積が相対的に狭くなりがちである。このため比較的若いうちに脊髄が障害され、もともと存在する脳性麻痺に加え脊髄障害による四肢麻痺悪化が加わることになる。不随意運動の影響により、環軸椎(第1,2頸椎)間の亜脱臼(ずれ)もまた脊髄を障害する要因となる。
もともと四肢に障害のあるケースが多いため、さらなる麻痺の悪化に気付かれにくい 。しかし手足のしびれを自覚するようになり、それまでできていた生活動作が困難になることで頸椎病変が疑われることとなる。たとえば、若いうちから電動車椅子で生活している重度の脳性麻痺患者において、電動操作が困難となる。
生来のアテトーゼ(不随意運動)や筋緊張があるため、脊髄の診察が難しい。腱反射の亢進は生来から存在することが多く、筋緊張や不随意運動のため腱反射をとることが困難であることもある。生活動作の低下、しびれ、感覚低下の存在により本症を疑う。
問診により生活動作のさらなる低下を確認し、感覚障害の存在から頸髄病変を疑う。MRI検査によって頸椎症性脊髄症と同様、頸髄の圧迫と脊髄内の輝度変化を確認して診断を確定する。不随意運動のために鎮静剤、麻酔剤を使用しないとMRI検査を行えないことが少なくない。どうしてもMRI検査を行いえない場合には、腰椎から造影剤を注入するミエログラフィーを行いCTを撮影することで強い脊髄圧迫が存在することを確認する。
一旦脊髄症状が発生したら手術の絶対的な適応である。そのほかの保存的治療を漫然と続けていると麻痺は確実に悪化する。頸椎の不安定性がなければ術椎弓形成術(頸椎症性脊髄症の項を参照)により脊柱管を拡大する方法が行われる。頸椎亜脱臼を伴う症例では、金属材料を用いた固定術を併用することがある。
頸椎へのボツリヌス注射や筋解離術は短期的に頸椎の不随意運動を抑制するための治療法であるが、脊髄障害への有効性はあまりない。
脊髄性の麻痺がおきた場合、手術以外の方法で麻痺の進行を止めることは困難である。手術後にも亜脱臼が新たに発生することがあるため、生涯にわたって術後経過を観察する必要がある疾患である。
1) 星地 亜都司 著:Critical Thinking脊椎外科,三輪書店 2008
2) 中村耕三 監修、星地亜都司・織田弘美・高取吉雄 編集:整形外科手術クルズス,南江堂 2006
1) Hoppenfeld 著、津山直一 翻訳:整形外科医のための神経学図説―脊髄・神経根障害レベルのみかた、おぼえかた,南江堂 2005
2) 戸山芳昭 著・編集:脊椎・脊髄 (最新整形外科学大系),中山書店 2008
3) 柳下章 著:エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第2版,三輪書店 2010
情報の正確性には最善の注意を払っておりますが、内容により生じた損失、損害についてMyMedおよび執筆者はいっさいの責任を負わないものとします。
ご自身の健康上の問題については、専門の医療機関とご相談ください。

※ マイメドでは、疾患項目の追加、および最新情報をお知らせするためにメールマガジンを配信しております。ご希望の方は下記にメールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。
なお、次の職業の方は、職業をご選択の上、メールアドレスを入力の上、送信ボタンを押してください。