先天性食道狭窄症 - MyMed 医療電子教科書

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最終更新日:2010.11.02

先天性食道狭窄症(せんてんせいしょくどうきょうさくしょう)

執筆者: 田中 秀明

概要

 食道壁の先天的な発生異常によって食道狭窄をきたす疾患で、25,000~50,000人に1人の頻度でみられる。食道閉鎖症など他の先天奇形との合併も17~33%の症例に認められ、診断や治療に苦慮する症例も多い。

病態生理

 狭窄部の病理組織型から次の3種類に分類される。

(1) cartilageous ring,
(2) fibromuscular thickening,
(3) membraneous web

 それぞれの成因は、呼吸器系の前腸からの分離不全、筋層間神経叢のNO作動性神経の減少、recanalizatonの障害が原因ではないかと言われているが、詳細は不明である。頻度は(1) > (2) > (3)の順である。合併奇形としては、食道閉鎖症、心奇形、小腸閉鎖、直腸肛門奇形、染色体異常がある。食道閉鎖症に合併した先天性食道狭窄症では特に(1)の占める割合が高い。

臨床症状

 出生後すぐに発症する場合のみならず、離乳食の開始とともに症状が出る場合も多い。嘔吐や嚥下障害がほとんどの症例に見られ、またそれに伴う発育不全をきたすことがある。食道内異物で発見されたり、誤嚥性肺炎を繰り返すこともある。

検査成績

 ほとんどの場合上部消化管造影検査にて診断が可能である。狭窄の形態にabrupt stenosis typeとtapered stenosis typeがあるが、造影所見から上記の病理形態を予測するのは難しい(図1)。狭窄部の切除術が必要となるcartilageous ringによる食道狭窄の鑑別に、超音波内視鏡検査が有用と考えられている。胃食道逆流との鑑別のために24時間食道pHモニターや上部消化管内視鏡が必要となる場合がある。食道アカラシアとの鑑別には食道内圧測定が必要である。

 食道閉鎖症に先天性食道狭窄症が合併する頻度は2.4~11.5%といわれるが、術直後の透視で見逃され期間をおいて診断されることが多いため注意が必要である。食道閉鎖症の手術時に遠位食道の通過性を確認するべきである。(図1 )

図

治療

 バルーン拡張術がまず試みられるが、効果が一時的で何度も繰り返す必要のある症例は、手術による狭窄部切除、端々吻合が必要となる。特にcartilageous ringが原因である場合は手術が必要であり、無理なバルーン拡張術は食道破裂の危険を高める。手術で胃食道移行部の近くを切除する場合はNissenなどの逆流防止の手術を加える必要がある。手術が行われた場合は術後の成績は良好である。

 狭窄部切除術を胸腔鏡下にて行い良好な結果を得たとの報告がなされており、今後広く試みられていくものと思われる。

 食道閉鎖症に合併した先天性食道狭窄は、バルーン拡張が試みられるものの最終的には狭窄部切除術が必要になることが多い。これはcartilageous ringが原因である比率が高いことが一因である。食道閉鎖症の手術時に食道狭窄合併が診断された場合は、両方の手術を同時に行われるが、両方の吻合部leakを合併した報告もあり、議論の余地がある。

参考文献

1) S Amae, M Nio, et al. Clinical Characteristic and Management of Congenital Esophageal Stenosis: A report on 14 Cases. J Ped Surg 2003;38:565-570

2) S Vasudevan, F Karendi, et al. Management of Congenital Esophageal Stenosis. J Ped Surg 2002;37:1024-1026

3) K Kouichi, H Yoshida, et al. Endosonographic Evaluation in Two Children With Esophageal Stenosis J Ped Surg 2002;37:934-936

4) M Martinez-Ferro, M Rubio, et al. Thoracoscopic approach for congenital esophageal stenosis. J Ped Surg 2006;41:E5-E7

5) B Newman, T Bender. Esophageal/tracheoesophageal fistula and associated congenital stenosis. Pediatri Radiol 1997;27:530-534

6) H Kawahara, K Imura, et al. Clinical characteristics of congenital esophageal stenosis distal to associated esophageal atresia. Surgery 2001;129:29-38

(MyMedより)推薦図書

1) 岡田正 監修、伊藤泰雄・福澤正洋・高松英夫 編集:標準小児外科学 (STANDARD TEXTBOOK),医学書院 2007
2) 加部一彦 監修:新訂版 赤ちゃんの病気全百科,学習研究社 2010
 

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